いよいよ今年もおしまい。そこで、恒例の忠臣蔵10大ニュース2022です。例によりまして、選定およびランキングも、独断と偏見に基づきます(笑)。


第10位 47Ronin続編、アメリカで好評配信中(らしい)

 あのキアヌ・リーブスの映画の続編が、ついにアメリカネットフリックスで公開!本編の不評にひきかえて好調らしく、続々編も制作決定とか。本来の忠臣蔵とは別物だけど、外伝や後日譚を含めて豊かにひろがるのが忠臣蔵世界。その文化がワールドワイドに展開しているのだと思う、ことにしておこう。日本では来年3月にブルーレイで登場の由。


第9位 オフブロードウェイで日本人劇団の忠臣蔵公演

 もうひとつ外国のニュース。10月に、アメリカはニューヨークで活躍する邦人劇団アマテラス座が忠臣蔵劇をオフブロードウェイ公演した。海外の日本人がアイデンティティを確認する主題として忠臣蔵が意味を持っていること、また日本の演劇人にとって忠臣蔵が特別な意味を持っていることを、想い起こさせてくれるニュースでした。


第8位 黒鉄ヒロシ氏『忠臣蔵1702』刊行

 出版関係では、めぼしいものが少ない。巨匠・黒鉄ヒロシ氏の『忠臣蔵1702』を挙げておきましょうか。幼少時の観劇体験から始まる御自身の「忠臣蔵愛」をこめた全4巻。理屈っぽい方向にもっていくのが漫画表現としていいのかどうか、評価が分かれるところだとは思いますが、力作なのは間違いありません。


第7位 大石主税の書、発見

 史料関係では、福井県の民家で大石主税の書が発見されたというニュース。内容などに吟味の余地はあるようですが、こうした発見がまだあるというのは驚きです。後が続くといいですね。


第6位 「忠臣蔵狂詩曲」文化庁芸術祭大賞受賞

 今年、国内の映像作品はあまり収穫がなかったようですが、昨年末に放映された「忠臣蔵狂詩曲」が文化庁芸術祭テレビドラマ部門の大賞を受賞しました。題材そのものは何度も取り上げられている「中村仲蔵」ですが、丁寧な作りが高く評価されたようで、忠臣蔵の映像化にはまだまだ可能性が残されていると言うべきかも知れません。


第5位 吉千代の墓 有志が整備

 今年の春、豊岡で地元有志が寄付を募って、荒れていた大石吉之進(祖錬元快)の墓を整備したというニュースがありました。地域で大切にされているという、心温まるお話しでした。関連で、山科の岩屋寺でも宝物殿修繕のために寄付をクラウドファンディングでつのっているという情報もあります。成功をお祈りいたします。


第4位 豊岡でりく展開催

 展示関係も豊岡から。市立歴史博物館で9月から11月まで企画展「大石理玖と豊岡」が開催されました。かつて「りく祭り」をやっていたころにもなかったという生涯を取り上げた企画展です。全国的にも赤穂事件の史実を扱った展示は少なく、貴重な企画でした。


第3位 歌舞伎と落語のコラボ

 さあ、いよいよベストスリー。国立劇場建て替えのためのさよなら公演の企画として、歌舞伎と落語のコラボ公演が行われました。「ありそうでなかった」「一番近い親戚」との共演。そして、そこで選ばれたのが忠臣蔵でした。日本の古典芸能における忠臣蔵の位置を再確認させてくれる出来事でした。


第2位 新作歌舞伎「荒川十太夫」

 続く第二位も、古典芸能のクロスオーバー。講談ネタの荒川十太夫を、尾上松緑丈が新作歌舞伎に。きっかけが当代随一の人気者神田伯山師の口演で、その師匠の松鯉先生(元歌舞伎俳優)ともども歌舞伎座の舞台に上がるという特別企画もおまけに。明治から昭和にかけてなら珍しくもない講談の歌舞伎化ですが、令和のいま、これが行われたことの意味は大きいかと愚考。歌舞伎関連では、播磨屋一周忌追善で白鸚丈が松浦の太鼓をやったことなどもありましたが、古典芸能のコラボ両公演に座を譲りました。


第1位 「日常」を取り戻しつつある義士祭

 そして第1位。去年と似てしまいますが、コロナ禍から復活しつつある日本をになって、義士祭復興の模様。赤穂で大規模行列が戻り、山科でも。まだまだ完全とはいかず、本所など中止のところも多い。感染も封じ込めたとは言いがたい。来年こそは、完全復活のニュースが聞きたいものであります。