「徒然蔵」の更新をせぬまま、2ヶ月が経過してしまった。テレビ東京で中村吉右衛門主演の「忠臣蔵」制作という大ニュースに、すっかりお留守になってしまったのである。まことに面目ない。
今月の歌舞伎座は、その吉右衛門を中心に「仮名手本忠臣蔵」の通しである。「ゆらレポ」も書くつもりだが、とにかく当代を代表する役者たちの競演する、豪華な舞台である。
豪華なのは舞台だけではない。筋書もいつになく豪華である。月の前半の口絵はスチール写真などのことが多いのに、今月は早稲田の演劇博物館提供の錦絵。まことに美しい。執筆陣も、常連のほかに松井今朝子・飯尾精にくわえ、なんと丸谷才一ときた。
「鷺坂伴内のために」と題された文章の内容は、未読の方の楽しみを奪わないように、ここでは触れずにおこう。「忠臣蔵とは何か」論争の丸谷のスタンスに必ずしも同調する者ではないが、示唆に富んだ練達の文章には感服せざるを得ない。
忠臣蔵の筋などは百も承知という方でも、この筋書はお求めになる価値がある、と思う。
2002年10月10日