俗に「碁打ちは親の死に目にも会えない」という。勝負事に凝ってはいけないという戒めだが、またこのゲームの面白さを伝える言葉でもある。囲碁の別称の一つが「爛柯」。対局を見物していた樵夫、斧の柄が腐ってボロボロになるまで気づかなかったそうな。
今年の大河ドラマの主人公・黒田官兵衛も囲碁愛好家のひとり。朝鮮に兵を進めたおりにも陣中でこれに打ち興じ、面会にきた石田三成に待ちぼうけを食わせてしまった。これを恨んだ三成が太閤に讒言に及び(事実の報告かも知れない)、一時退けられたという。
知謀すぐれた如水にしてこの体たらく。ゲームに耽溺する子供たちに示しがつかない。侵略戦争に反対だったという解釈がされるかも知れないが、贔屓の引き倒しというものであろう。「生涯中唯一の失錯」と言う方が(唯一かどうかは別にして)穏当だ。(福本日南『黒田如水』)
日南は、この事件について「碁局の心を奪ひ、時刻を移し、機宜を誤る、往々斯くの如し。戒む可し、戒む可し」と書いた後、「之を戒む可き者は、斯く申す記者までを籠めて…呵々」と付け加えている。この「呵々」は「ワッハッハ」より「テヘペロ」の方が近そうだ。
日南の囲碁好きは有名であった。対局が始まれば原稿の締切ナニするものぞ。これを見かねた令夫人、ある日ナタを持ち出して碁盤を真っ二つに叩き割ってしまった。流石の日南も慎むようになったとか。(渡辺斬鬼『名流百話』)
この夫人の働きなかりせば、『元禄快挙真相録』は誕生しなかったかも知れない。これも内助の功とこそ言うべけれ。義士伝に登場する、自害して夫や子を励ます女丈夫は虚妄だが、そのことを明らかにした日南には、かかる烈女が配されていたのである。
今年の大河ドラマの主人公・黒田官兵衛も囲碁愛好家のひとり。朝鮮に兵を進めたおりにも陣中でこれに打ち興じ、面会にきた石田三成に待ちぼうけを食わせてしまった。これを恨んだ三成が太閤に讒言に及び(事実の報告かも知れない)、一時退けられたという。
知謀すぐれた如水にしてこの体たらく。ゲームに耽溺する子供たちに示しがつかない。侵略戦争に反対だったという解釈がされるかも知れないが、贔屓の引き倒しというものであろう。「生涯中唯一の失錯」と言う方が(唯一かどうかは別にして)穏当だ。(福本日南『黒田如水』)
日南は、この事件について「碁局の心を奪ひ、時刻を移し、機宜を誤る、往々斯くの如し。戒む可し、戒む可し」と書いた後、「之を戒む可き者は、斯く申す記者までを籠めて…呵々」と付け加えている。この「呵々」は「ワッハッハ」より「テヘペロ」の方が近そうだ。
日南の囲碁好きは有名であった。対局が始まれば原稿の締切ナニするものぞ。これを見かねた令夫人、ある日ナタを持ち出して碁盤を真っ二つに叩き割ってしまった。流石の日南も慎むようになったとか。(渡辺斬鬼『名流百話』)
この夫人の働きなかりせば、『元禄快挙真相録』は誕生しなかったかも知れない。これも内助の功とこそ言うべけれ。義士伝に登場する、自害して夫や子を励ます女丈夫は虚妄だが、そのことを明らかにした日南には、かかる烈女が配されていたのである。