某ブログにて「恋の絵図面取り」が話題になっていたことからの連想なのだが、思えば仇家の間取りを知ることは、忠臣蔵ドラマの中核だった。
忠臣蔵世界の原点というべき「碁盤太平記」では、奴岡平(実は寺岡平右衛門)が碁石をならべて間取りを教え、それが外題の由来となった。
「仮名手本」では、この岡平が三つに別れる。すなわち、自分の死と引き替えに加盟が認められる早野勘平と、足軽身分ながら士分に勝る義心をもつ寺岡平右衛門、そして苦しい息の下から碁石で間取りを教える加古川本蔵である。
現代の通し上演ではカットされることの多い九段目だが、二段目で用意した伏線が明らかになる作の趣意からして、全編のクライマックスというべきであろう。
史実は、というと、親類筋から入手しており、苦労がなかったとは言わないまでも、ドラマチックなエピソードの生まれる余地はない。しかし、間取りの探索がなくては、「忠臣蔵」物語は締まらない。女をだますという不愉快な側面にも関わらず、人気エピソードとして語り継がれる理由のひとつは、そんなことかも知れない。

義士伝の世界と忠臣蔵の世界の微妙な関係のひとつなのだと思う。