レスリン - Reslin (トラゾドン塩酸塩 - trazodone hydrochloride)
製造販売元: MSD
効能または効果: うつ病、うつ状態
名称の由来:なし
レスリンはイタリアで1960年代に発見され1971年に発売された薬。それまでの三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬とは異なる構造をもっており、新しい機序の抗うつ薬として日本でも期待を持って1991年にデビューした。レスリンは日本オルガノン(現MSD)から、同一薬としてデジレルがアップジョン(現ファイザー)から発売されている。セロトニンのアンタゴニストかつ再取り込み阻害剤なので(SARI: serotonin antagonist and reuptake inhibitor)と呼ばれることもある。
治験ではトリプタノールとの比較で、150mg~250mg/dayの投与によって同等の有効性を示したとされている。
従来の抗うつ薬よりセロトニンに対する選択性が強く、ノルアドレナリンにはほとんど作用しない。抗コリン作用も低いので、口渇や便秘などは軽い。三環系抗うつ薬と比較すると性機能障害もない。効果の発現も早く、それまでのノルアドレナリンからセロトニンへ注目が集まるなか、副作用の少ない薬は画期的であったと思われた。
ところがいざ発売されてみると、抗うつ作用はそれほどでもなく、そのわりには眠気の副作用が強く、いまではうつ病患者の睡眠薬的な扱いになっている。処方の上限は200mgで、治験の結果から見ても大量投与で初めて効果が出るのではないかと思われる。米国では400mgくらいまで処方するようだ。ただ、そのくらいの用量となると、眠気の副作用が強すぎてまともな社会生活が送れなくなってしまうのかも。
セロトニンへの選択性が高く、より副作用が軽減されているSSRIが登場したいまとなっては、レスリンは副作用を上手く使った使われ方をしていくのではないかと。レスリンで眠くなればベンゾジアゼピンを減らすことができるし、多少の抗うつ効果も期待できる。
胎児危険度分類はC(US)。妊娠中の人はよほどうつが酷くて自殺しかねない場合でなければ、出来る限りは飲まないほうが良さそう。(医師の判断を仰いでください)
Tmaxは2.6~3.4時間、t1/2は6.4~6.8h。睡眠の補助とするのであれば、寝る1~2時間に飲むといいかもしれない。
薬価は25mg錠で20.2円、50mg錠35.6円。1回50mgくらい飲むとすると40円前後となり、睡眠導入剤として考えるとちょっと高い。
tomaは睡眠が不安定になってきていたところで処方に追加された。抗うつ薬としての処方ではなく、ほとんど睡眠剤としての役割を期待した処方だったので、夜のみ50mg(25mg錠×2)となっている。
初日、恐る恐る25mgを飲んでみた。
15分後くらいから頭がぼーっとしてきて、気がついたら朝まで寝ていた。熟眠感もまぁまぁで、レメロンやテトラミドと比べて明らかに睡眠改善効果があった。(レメロンやテトラミドでは全然眠くならない)
その後は50mgに増量しているが、飲んで15分~30分ほどで頭が少し痛くなり、眠気がやってくる。試しにハルシオンとアモバンを抜いてみてもやっぱり眠ることができた。
ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤は耐性も付きやすいし、超短期型のハルシオンやアモバンだと熟眠感がそれほどでもない。ロヒプノールだと確かによく眠れるのだが朝にも結構残る感じがするので控えていた。
レスリンはぐっすり眠れて、朝にはそれほど残らない。ただ、この眠気はもともとは副作用なので、体が慣れてくると効きが悪くなってくるのではないだろうか。抗うつ薬では良く、最初は副作用があるが徐々に慣れてきて収まると言われることが多い。
寝付きが悪かったり熟睡ができなかったりするうつ病の人は、一度試してみる価値あると思う。