心療内科や精神科(以後、「精神科」)は良く「1分診療」だとか「3分診療」だとか言われることが多い。
精神科では問診が主体のため、患者が発言しない限りは話が続きようが無い。
有能な医師は顔色から判断したり、うまい質問で症状を聞き出してくれるが、たいていは自分から何か言わない限りは前週と同じ、ということになる。
と、いうことで精神科受診のマニュアルを考えてみた
1. 聞きたいことを用意する
もうこれは必須。
たいていの人はぶっつけ本番だと話したかったことがほとんど話せない。
あらかじめ考えていてもたいていは何かしら忘れてしまう。
なので、あらかじめ聞きたいこと、話したいことはメモをしていく
2. 前回の薬があっているのかどうかを話す
前回処方された薬を飲んで、明るくなったのか、不安が取れたのか、それとも副作用で吐き気がしたのか眠くなったのか、とにかく自分のカラダにおこったありとあらゆる情報をまとめておく。
体重が増えた(減った)、口が渇いた、汗が出るようになった、便通が悪くなった、眠気が強かった、性欲が無くなったなど何でも話す。
だいたい医師はそういう話は聞きなれているので恥ずかしいということは無い。(だって、研修医の頃は尿検査していたんだぜ)
副作用の報告は、医師にとってその薬が効き始めたのか、また患者にあっているのかを判断する重要な情報となる。副作用が強いならそれを対処する薬が必要になるだろうし、場合によっては薬を変える必要が出てくるかもしれない。何もいわなければ医師も漫然と同じ薬を出してくるだろう。tomaは以前通っていた精神科では、眠れないことについては細かく話していたので睡眠導入剤はかなり工夫がされてきたが、肝心の日中の抗うつ薬については何も話していなかったので、ずーっと同じ薬が処方されていた。
勝手に減薬した場合はカミングアウトしづらいかもしれないが、それが副作用によるものだったり、朝ごはんを抜くことが多くてどうしても朝の服薬を忘れてしまうというコンプライアンスの問題だったりと、会話から次のアクションが決まることも多い。
3. 睡眠の状態について話す
うつ病の場合、睡眠に何らかの障害が出ることが多い。寝つきが悪くてベッドに入ってから30分以上眠れないとか、夜中○時に目が覚める、朝起きるのがつらいなど、睡眠の情報にについてはできる限りいまの状態を話す。睡眠が良いか悪いかではなくて、客観的に起きている事項を話すのが良い。
きちんと睡眠をとることで、日中の眠気を抑えたり、気分を安定させることが出来たりするので、同じ眠れないにしても寝つきが悪いのか早朝覚醒するのかをきちんと伝える。
3. 食欲について話す
うつ病の場合ややはり食欲が減退することが多い。ドグマチールやアモキサンなど、服用することで食欲が改善する薬もあるので、朝は食べられるのか、昼は食べられるのか、夜はどうか、また一度に食べる量はどのくらいかを話す。
食欲は体調管理にとても重要。
4. お通じについて話す
SSRIは下痢気味に、三環系抗うつ薬は便秘気味に作用するので、そのような症状があったら報告する。下痢についてはカラダを維持するために必要な水分やミネラルまでもがでてしまうこともあるので、対処の薬が必要になるかもしれない。
5. 気分の変化について話す
明るい気分がして生きたのか、希死念慮が出てきたとか、何でも億劫だとか、気分の状態を話す。
仕事に手がつかない、集中力が無い、午後に冴えてくるといったプラスマイナス両面の状態をできる限りこまかく説明できるのが良い。
6. 飲みたい薬があったら正直に話す
飲みたい薬があるのなら、思い切って相談してみたらいい。
医師によってはそういうことをイヤがあることもあるが、自分のカラダのことなのだから話してみる価値はある。それで医師が難色を示すなら、その理由を聞いてみるのがいい。ひょっとするともう少し様子を見るべき薬なのかもしれないし、一過性の副作用で止めてしまうのもどうかと思う。
ただし、相談はよほどの副作用が無い限りは2週間~3週間同じ薬を飲んだ後にする。抗うつ薬は少し効き目が生じるのに時間がかかる。
7. その他
心療内科を掲げているところは、たいてい内科も掲げているので、ちょっとした風邪薬や胃薬も出してくれる。tomaがいっているところでは花粉症の薬も出た(単なる抗アレルギー薬だが)
あまり医師の治療方針にケチつけないほうがいい。相手も人間なのだから何言っても受け入れるのが医者だろ、というのは通用しない。どうしてもイヤならば病院はいくらでも変えることが出来る。
精神科は短時間診療だ。
これは仕方ない。再診料3割負担で1,500円ってことは4,500相当分なので、30分も治療してくれるわけが無い。医師の総掛り費用は結構高いのだから。この場合、セカンドオピニオンもあまり期待にならない
よっぽど丁寧な診察が良いのなら、お金かかるが自費診療を検討するしかない。
逆に自分が3分間スピーチをすると考えてみよう。結構長くないか。
自分の病気をプレゼンすると思って事前準備をしておこう。
よっぽどの重症なら別だが、軽いうつ病患者ならある程度の話をまとめることくらいは出来ると思う。
それが出来ないレベルになるとさすがに医師も判断できるだろうから、入院だとかそういう話になる。
3分診療に文句を言ってもしかたがないので、その時間をMAXに使うのだ。
これだけの時間があれば、事前準備がしっかりとされていればきちんと必要なことを話すことが出来る。3分程度の話をさえぎるような医師も相違ないだろう。
話の内容、トーン、脈略から医師は適切な診断が出来る。適切な診断があって適切な処方が出来る。
精神科は薬売りという批判もあるが、適切な診断が出来れば、病気そのものを治したり対処したりするのは薬なのだから、見立てに間違いが無い限りは治る確率も高い。
ちなみに、tomaは内科でも心療内科でも眠れないと訴えたらマイスリーが出たことがあるので、とりあえずの対処薬的なものは案外簡単に処方される。