マイスリー - Myslee (ゾルピデム酒石酸塩 - zolpidem tartrate)


製造販売:アステラス製薬
提携:サノフィ・アベンティス


名称の由来は「MY SLEEPの下線部をとってMysleeと命名した。」(サノフィ・アベンティス)

いまやシェアNo.1ともいわれる超短期型の睡眠導入剤。中枢神経にはω(オメガ)受容体というものがあり、サブタイプとして睡眠に関わるω1受容体と筋緊張や記憶に関わるω2受容体がある。ハルシオンを始めとするベンゾジアゼピン(BZD)系の睡眠導入剤はこのω1とω2に対する選択性が低いので、両方を抑制してしまう。マイスリーはω1だけに選択的に作用し、催眠鎮静作用に特化した睡眠導入剤だ。


BZD系の薬はω1よりかω2よりかで睡眠導入剤と抗不安剤に分かれている。だからハルシオンロヒプノール にも筋弛緩作用があるし、ソラナックスを飲んだら眠くなったなんてことが起こる。マイスリーはその辺のあいまいな境界がない薬なのだ。そのせいなのか不眠症への効能をうたっているが、統合失調症とうつ病に伴う不眠症には有効性が期待できないとして、「(統合失調症及び躁うつ病に伴う不眠症は除く)」という但し書きがついている。額面どおりに読めば、抗精神病薬や抗うつ剤とは一緒に処方されることが無く、単に「眠れない」という人専用ということになってしまう。


通常は1回5~10mgを就寝直前に服用する。
Tmaxは10mg投与時で0.8hr、T1/2は2.30hrと飲んですぐ効いて、あっさり代謝されるという感じ。ハルシオン のTmax1.2hr、T1/2と比べてもキレが良い。
薬価は5mgで50円、10mgで79.2円もする。アモバン は10mgで33.9円、等力価と考えられるハルシオン 0.25mgが17円であることを考えると、バカ高い薬である。(まぁ、それでも3割負担で24円程度なのでたばこ吸ったりビール飲むこと考えれば...)


マイスリーはREM睡眠に影響することなく徐派睡眠(stage3~4の深い睡眠)を増加させると考えられている。同じサノフィ・アベンティスのアモバン から苦味をとったような睡眠薬ともいえる。処方される条件が狭い、筋弛緩作用がない、価格が高いということから犯罪に使われるケースは少ないと思われる。


ちなみにtomaは以前通っていた精神科で「パキシル」+「アモキサン」+「マイスリー」の処方を受けていたことがあるのだが、この場合の病名は何であったのだろうか。医師がいうには「うつ状態」だったのだけれど、マイスリーはうつ病でも臨床的には効果があるってことなのかな。


tomaはマイスリーでもアモバン でもハルシオン でも寝られるので、超短期型でマイスリーを選ぶ理由がほとんどない。ハルシオンに比べて依存が少ないとの声もちらほら聞こえるけれど、そもそもODしないし睡眠導入剤に頼らず寝る日もあるので常用量依存の心配もあまり無いので。昨今の犯罪事件でハルシオン が規制されたりでもしない限り、マイスリーを今後使うことはないだろうなぁ。