(※以下受験から丸一年経ったものの戯言です。史実関係でなにかとんでもない間違いをしてるかもしれません。そのときはメッセージ等で知らせて頂ければ嬉しいです。)
今年の世界史についてリクエストがあったので、ざっとだけ概観してみます。
個人的には、今年受験した受験生(特に他の大学に通うことになった方)にはあまり見るのをおすすめしません。未練が残っちゃうかもしんないからです。
僕は何度も言います。大学受験で人生は決まらないと。入ってからが勝負です。ついこの前今上智に通ってる、中高同じだった友達に会ってきたんですが(彼は第一志望が早稲田でした)、まぁ、すごい。すごかった。本当にすごくなってた。ヤバかった。今年一の衝撃でした。この話はおいおい時間があればしてみたいと思います。
さて、今年の問題ですが、全体を通して見てみても、難化は間違いないです。ってか去年が比較的簡単すぎたと思います。
しかし、出題範囲を見てみると。第一問は中世のヨーロッパ(主にドイツ)、第二問は「革命」、第三問は中国と朝鮮だったということで、非常に一橋らしい、オーソドックスな年だったと言えます。出題範囲に関して言えば。
また、難易度を度返しして考えると、今年も良い問題が揃ったな、という印象です。
第一問
一橋らしい問題ですね。本当ドイツ好きだな。
まず、問題の要求は大きく分けて3つあります。
「中世ドイツの東方植民の経緯と、送り出した地域の当時の社会状況」
「植民を受け入れた地域が近代にいたるまでのヨーロッパ世界の中で果たした経済史的意義」
「その地域の社会状況の変化に言及」
まず二つ目です。
これが一番重要と言っても過言ではない。
こういう「でっかい意義」を聞いてくる問題は、個別具体的な史実から考えていくのがもちろん定石なんですが、逆に「歴史的意義」の方から逆算して考えると、うまくいきます。
「近代にいたるまでのヨーロッパ世界の中で果たした経済史的意義」
なにがありますか?
・・・
・・・
僕だったら、「国際分業体制」が思いつきます。(国際分業体制に関する問題は過去にも出題されてます。かなり、過去ですが。)
じゃあそっから逆算していくと?
国大分業体制形成のきっかけは?
グーツヘルシャフト(領主の、農奴に対する身分的束縛が強くなった)で東欧が西欧の食料供給地になってしまった(グーツヘルシャフトに関連した論述問題は、僕は2007年の東大の第一問でやりました)。
その原因は?
商業革命と価格革命。
これを後半丁寧に書いてあげればいい。史実に沿って丁寧に書けば、自然と3問目の要求にも答えることになると思います。
で、前半ですが、これは「移民」に関する基本的な知識が関連してるというか、人が移動するというのは、その国にはいづらいから出ていくということになります。なぜ居づらいか。人が多いから。そう、中性農業革命で人口ボーン増えてみんな外に出ていくということです。
まぁ中世と言ったらよく「農業革命」がついてまわりますよね。いつかの一橋の問題にも二回起こった農業革命について比較せよ、みたいな問題がありましたね。
三圃制とか重量有輪犂とか、そこらへんをちょろっと出してあげてください。
で、もうひとつが「宗教的情熱」に起因する、ドイツ騎士団の件(くだり)ね。
これを具体的に書いていけば十分すぎる解答になると思います。
この問題は、まず後半の「国際分業体制」という趣旨の文言がない限り、かなりキツいと思います。
これが一番メインだから。
なので前半の「農業革命→人口ボーン→外へ」って流れが抜けたりだとか、ドイツ騎士団のくだりが抜けてしまっても、後半の「国際分業体制」のくだりが書けていれば及第点かなと個人的には思います。
あとちゃんと商業革命と価格革命にも触れてあげれば。
この問題は、ただ史実を述べさせる問題ではなく、歴史の大きな流れがつかめていないと知っていても書けない問題だったので、個人的には「良問」の部類に入ると思います。
ただ、問題分からすぐ「国際分業体制だ」ときづけなかった場合、結構キツい問題だったとも言えます。
各予備校が出してるようなこと細かい知識は本番で書けません。多くの人は。なので「大枠」を捉えて、なにを書けばいいのか、何が聞かれているのかを、しっかり読み解けるようになることが、「論述問題」を解く上で大切なことだと思います。
単なる、「記述問題」ではないんですから。あとでも触れますが、第二問の「考察しなさい」なんて、まさに「論述問題」ですよね。
第二問
はっきりいって難しいですが、僕がこの問題を本番で見たらどう思うか。興奮します笑。
だってこんな問題ただ知識暗記に走ってる受験生には全く解けませんよ。
「考えて」論述問題を解いてきた受験生にしか解けないと思います。そういう意味で、「よし、これで知識偏重型の奴らと差が付いたw」と、去年の僕ならガッツポーズしたでしょう。
それに加え、一度「革命」については授業で扱ったことがあるし、なにより自分で法則を見つけて筋道をたてて説明する問題なんて、とっても面白いじゃないですか。
解きがいがあるなぁっていう感じです。満点は取れなくてもいいんです。
それに、ちゃんと筋道立てて「考察」できてれば点になります。例え模範解答とちがくても。第一、各予備校の解答見てみてください。結構バラエティーに富んでいます笑。でも、「考察している」という本質では、どこも同じです。逆に考察できさえすれば点になる。普段から「考えて」論述問題を解いてる人には、かえってボーナス問題だと言っても過言ではなかったかもしれません。少なくとも俺だったら試験会場でニヤつきます笑←
問題文にも大きくヒント書いてありますよね。
「絶対王政による国王と貴族の関係の変化」。
フランスのこの時代の国王と貴族の関係というのは、とても重要なところですよね。
ざっと言ってしまえば、「革命」は「国家体制の変化を目論んだもの」だと僕は思いました。
貴族「絶対主義とかふざけんじゃねーよ!」
こんな感じ。
この時代フランスは「社団国家」でした。この社団国家体制?を崩そうとしたものが革命だ、って流れです。(社団国家について知らない人は各自調べてください。東京書籍にもコラムで載ってます。2001年の一橋の第二問も社団国家がテーマです。)。
三部会復活させようってのが事例かな?
これが「革命」としてみる場合。
「反乱」はというと?
これは僕のフィーリングでしかないのかもしれませんが、「反乱」は「革命」よりいわば「しょぼい」ものですよね?
掲げてる目標のレベルが低いものが「反乱」だと思いました。
「天皇制反対~!」言うて、わーってなるのが革命。
「年貢高すぎだこの野郎~」ってのが反乱。
政治的側面か、実益的側面か、って分類でもよさげかもですね。
で、どう捉えたら「反乱」かと言うと、だから貴族が自分たちの権益の「回復」をただ目論んでいた。
単なる「階級闘争」だと考えると、別に国家体制の変化を目論んではいないから、これは反乱、って感じですかね。
大きな流れはこんな感じ。あとは事例などを踏まえて丁寧に論じていってください。
第三問
省略。
毎年ここは「史実」が聞かれている、単なる「記述問題」にしかすぎない場合がほとんどです。
今年もその例外ではありません。
しかも出題範囲を見てみても、何年連続で中国出るんって感じだし、ようやく朝鮮出ましたか、待ってましたよって感じですし(おそらくこの朝鮮の問題はおそらく「糟谷憲一」先生が作ってます。この先生は社会学部で「社会史史料講読」って授業もやっているし、朝鮮の専門家みたいなので、まずそうだと思います。世界史リブレットという本の朝鮮バージョンの本もこの糟谷先生が書いています。)
「世界史リブレット」という本は論述をやる受験生にはかなりおすすめな本です。薄いですし、テーマごとになってますし、比較的読みやすいですし。僕も受験生のとき何冊か読んでました。是非学校の図書館等で探してみてください。
以上、簡単にですが概観でした。
模範解答等は載せるつもりないのであしからず。
来年一橋を受験するみなさんへ。
社会は、「覚える」科目ではありません。「考える」科目です。
覚えてないと、考えることさえもできない、というだけの話です。
覚える段階で終わるか、考える段階まで進めるか。
ここが、一つの合格への「ハードル」になると言っても過言ではないでしょう。特に社学志望のみなさんは。
いっぱい覚えて、いっぱい考えてください。
それでは。