涼しい日々が続き、人も動物も過ごしやすい季節が到来しました。
お子さんたちは夏休みが終わって、残念がっている頃でしょうか
さて、今日はの中毒のお話をしたいと思います。
玉ねぎ、チョコレートの中毒はご存知の方も多く、
ブドウの中毒も最近有名になってきました。
そこでお花のユリ中毒について解説します。
概 略
にとって、ユリは非常に毒性の強い植物で、
腎臓に対し、不可逆的な損傷を引き起こすことが
知られています。
『 不可逆的 』と言うのは治療しても元に戻らないと言う意味です。
恐ろしいですね
は新しいものに興味を示す習性があるため、
花束を購入、もしくは花瓶の中身を取り替えた際に、
花や葉を舐めたり、噛んだり、そして食べたりもします。
このような状況下で中毒に陥るケースが多いようです。
ユリの種類
一口にユリと言っても色々な種類があります。
基本的に、ユリ科植物全てについて毒性があると考えられています。
中でも一般家庭で栽培、もしくは飾られているものとして、
テッポウユリ、オニユリ、コオニユリ、カノコユリ、キスゲは
猛毒性として知られており、
カサブランカ、イースターリリーも中毒を起こすようです。
カサブランカ
中毒部位
花から球根まで、ユリの全ての部位が毒性を示すようです。
根を食べることは余り無いでしょうが、
花粉を舐めたり、花びら、茎、葉を噛んだり、食べたりすると、
中毒を引き起こします。
ユリの花が入った花瓶のお水を舐めても、
同様の中毒を起こすことが報告されています。
中毒物質について、どの成分が有害なのか特定されていません。
治 療
食べた直後であれば、催吐処置によって食べたものを吐き出させ、
胃洗浄を行うことで一命を取り留める可能性があります。
時間が経ってしまった場合、効果的なお薬や治療法は存在しません。
活性炭や浸透圧下剤を投薬し、点滴による利尿を掛け続ける、
と言った対症療法くらいです。
病気の進行
食べた量に左右される部分はあるかも知れません。
腎毒性による致死率は非常に高く、重症例ではおよそ1週間程度で死に至ります。
徴候は、食欲不振、元気の無さ、無尿、嘔吐などです。
死因は急性腎臓病で、
中毒物質が腎臓尿細管の壊死を引き起こすことで発生します。
葉を1㎝食べただけで、亡くなったもいますので、
本当に注意が必要です。
仮に生き延びたとしても、一度失った腎機能が回復することは無く、
生涯に渡って点滴など腎臓病の程度に応じたケアが必要です。
ユリは仏壇のお供えや、花束のプレゼントにも多用されるため、
見ることの多いお花ですが、を飼育されているご家庭は、
出来ればご自宅には飾らないよう徹底して頂くことが望ましいと思います。
ご家庭のが(もしかしたらも…)ユリ科植物を摂取した場合、
医療的な緊急事態だと考えて下さい。
ちなみにワスレナグサも同様の腎毒性を持つため注意が必要です。
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