ゴールデン・ウィークも明け…とっくに…ですけど、
ここ数日は気温が高く、暑い日々が続いています。
私は先日、その暑さの中、友人たちと軽登山を楽しんで参りました
奥多摩にある「本仁田山」と言う山です。
眩しい新緑の中、ヤマザクラもまだ綺麗に咲いてくれていて、
初夏の装いとともに春の名残を感じさせてくれました
さて、趣味の話題をさらりと紹介したところで、
今週の本題「の心筋症」について解説します。
心筋症とは、心臓の機能異常を伴う心筋(心臓の筋肉)の疾患である、
と言うところまでは前々回のブログ で、簡単に触れました。
今回は、そこから少し踏み込んでいきます。
の心筋症は、下の5つに大別されます。
肥大型心筋症(HCM):全体の58-68%
拘束型心筋症(RCM):21%
拡張型心筋症(DCM):10%
分類不能型心筋症(UCM):10%
不整脈源性右室心筋症(ARVC):1%未満
割合で見れば一目瞭然ですが、動物病院でも遭遇する機会の
最も多い病気が肥大型心筋症です。
心筋症の中で多い、と言う訳ではなく、猫の心臓病として見ても、
動物病院での遭遇率は最も高いものだと思います。
もちろん、全ての患者様のデータから見れば、
この病気に遭遇する確率は低いものです。
あくまで、心臓病としての範疇で考えて頂けたらと思います。
【肥大型心筋症の定義と原因】
定義:
心室内スペースが狭くなり、かつ左心室の肥大を形態学的な特徴とし、
拡張能力の低下(拡張不全)をきたす心筋症
原因:
未解明の部分もありますが、遺伝的因子によるものと考えられています。
メインクーン、ラグドールでは病気発生遺伝子が特定されています。
甲状腺機能亢進症から二次的にこの病気が発生することもあります。
必須アミノ酸であるタウリンの欠乏によっても発生します。
【好発品種】
常染色体優性遺伝:メインクーン
家族内発生(遺伝性):アメリカン・ショートヘア、ラグドール
その他、好発品種:ペルシャ、ブリティッシュ・ショートヘア、
ノルウェジアン・フォレスト・キャット、
スコティッシュ・フォールド、ベンガル…など
上記のたちは好発品種として名前を挙げられてこそいるものの、
動物病院で遭遇する品種として最も多いのは「ミックス種(雑種)」、
と言うのが実情です。
【発生年齢と性別】
多くの猫では、5~7歳くらいでこの病気が見つかるようです。
あくまでこれは平均値であり、報告されている年齢の幅は、
3ヶ月齢~17歳までと非常に広い範囲にわたります。
メインクーンは若くして発症する子が多いようです。
性別の差として、実に80%以上が男の子で発生しています。
【臨床徴候】
肥大型心筋症の臨床徴候は他の病気で認められる場合も多く、
これ…と言う決め手に欠けています。
元気・食欲の低下
疲れやすい
下痢、嘔吐など消化器症状
呼吸困難:胸水、肺水腫などの発生
前足、後足の麻痺:血栓
突然死:不整脈の発生、脳梗塞
…など
呼吸困難が現れていれば、比較的容易に診断が付くこともありますが、
ここまで来るとかなり重症です。
動物病院でたまたま心雑音を指摘され、
発見につながるケースもありますが、
全ての子で心雑音が聞こえるわけではありません。
逆に言うと、心雑音が聞こえた場合、
この病気を含めた何らかの心疾患が考えられるため、
様子を見ずに早期の検査を行うことが非常に重要です。
【動脈血栓塞栓症】
肥大型心筋症を発症した16-18%のにおいて認められる病態です。
病態の進行の程度、の体質的な素因から血栓形成が促されることがあります。
心臓内で血栓が形成された場合、この血栓が血管を通って移動し、
移動した先で詰まってしまうと、その部位で血流が途絶えるため、
血行を失った組織の壊死が始まります。
腰部の大動脈に詰まることが多く、後足の麻痺として現れ、
激烈な痛みを伴うのが特徴です。
また、前足や内臓に血栓が詰まった場合、
その部分にも壊死が起こりますが、
脳に血栓が飛んで、脳梗塞を起こしてしまうと、
突然死することもあります。
…とまだまだ肥大型心筋症については道半ばですが、
文章が長くなってしまうので、今週はここまで。
様子を見よう…ではイケない、意外と怖い病気なんです
肝心の検査と治療については、来週改めて解説します。
この病気でお悩みの方、動物病院で心雑音を指摘され、
ご不安に思われている方、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
さいたま博通り動物病院
〒360-0015
埼玉県熊谷市肥塚1-6-35
電話:048-577-3774
URL:http://www.saitamahaku-vc.com/
【診療時間】
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