2時間後くらいに行くねと
電話があったけど
その時間の前にもう着きそうだと
電話がかかってきた。


私は先にお店に着いていたから

もう大丈夫だよと伝える。


彼がいつものように

クーラーボックスと共にやってきた。


そしていつものように

ボウルに魚を入れてもらう。


彼がお店の包丁が切れにくいからと

持って帰って研いできてくれた。

その切れ具合を確かめたいからと

何匹か捌いてくれると言った。


「何か食べた?」

と聞くと

『何も食べてない』

って言うから

彼が捌いてくれてる間に

食事の用意をした。


『美味そうな匂いがする!』

と彼が言って

捌くのを交代して

彼が食事をし始めた。


『美味っ!』

という彼の言葉が聞けて

私はとっても嬉しかった。


時々私が捌いているのを

隣に来て見てはダメ出しをして

笑ってまた食事をする。


とっても穏やかで幸せな時間だった。


遠出の上に長時間の釣りで疲れてて

更にはこれから釣ってきた魚を

帰って捌かなきゃいけないからと

いつもよりは早目に帰って行った。


帰り際

私が頼んであることに必要な

材料を買って来たよと彼が見せてくれた。


コレじゃないといけないんだとか

あそこにしか売ってないんだとか

こだわりのポイントを話してくれた。


彼が私の為に手作りしてくれる。

彼が私の為に材料を買いに行ってくれた。

彼が私の為に時間を割いてくれる。


全てが嬉しくて

全てが幸せに感じた。


彼が帰ってから

1人黙々と魚を捌く。

すぐ横には彼が使った食器がある。


それを見ながら

何だかココは彼の実家みたいだなって思う。


息子がご飯を食べに

母親の所へやってくる。

息子はリラックスしたキモチで

食事をしてお喋りをして

そして自分の家に帰って行く。


やっぱり私は彼にとって

母親みたいなものなのかな。

それでもいい。

彼にとって居心地の良い場所であるなら

それだけでも幸せだと思う。