しかしながら…。

現場が弟の言う通り椿ラインなのであれば、この呆榮さんの手記はまさしく正確に現場の情景を描き表していたものであることになります。

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椿ラインからの展望(GOOGLE地図より)

椿ラインの芦ノ湖から大観山までの道のりは一貫して登りの坂道になっており、現在でも遠く芦ノ湖を眺望できる景観が売り物のドライブルートになっています。
しかも、芦ノ湖を起点として箱根新道の芦ノ湖大観ICを過ぎた辺りから大観山レストハウスに至るまでの区間、ほぼ進行方向右側が山、左側が谷になっていて、山側である進行方向右手には、土止めのための「石垣」が続いているのですね。

つまり、事故現場を「七曲」から「椿ライン」に修正してやれば、秋山呆榮さんの手記にある「元箱根側から見て、ここは右側にずっと石垣が続き、左側の方は、木々に囲まれてはいるものの、芦の湖を望む崖の連なりになっていて…」という記述にぴったりと符合し、私が箱根への小旅行(15)で抱いた疑問点は見事にクリアされることになるのです。

これは不覚でした。
箱根への小旅行(15)以降で「芦ノ湖の周辺に芦ノ湖を望む坂道がないか」と探して回っていたつもりだったのですが、この椿ラインはその「周辺」と私が設定した範囲から落ちてしまっていたのです。

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「なるほど…」
これはどうも弟の言うことに間違いはなさそうだ、と私は思い直しました。
呆榮さんは事故後すぐに現場を訪れることができず、その周囲の状況を正確に把握することが出来なかったが故にああいう記述になってしまったのだろう、という推理を私は展開して来ていたのですが、所詮それは私の手前勝手な解釈に過ぎなかった、ということになります。
呆榮さんは、恐らくきちんと事故の現場もその周囲の状況も分かっていらしたのですね。
身内の方のきちんとした証言が残っていたにも関わらず、私はそれを「誤りだったのだろう」と一方的に決めつけて勝手な解釈を展開してしまっていたことになる訳です。
呆榮さんには何とも申し訳ないことをしてしまいました。
当て推量で物事を捕らえようとしてはいけないのですね。
深く反省しなければなりません。

さて、そんな訳で事故の起きた現場は現在の大観山レストハウス手前の右コーナーだった、という新しい推理が検討の俎上に上ることになりました。
では、この写真が撮影されたのは、現在のどの地点になるのでしょうか?
写真に写っている影を元に、七曲の左最終コーナーのどの地点に何があったかを組み立てて来た方法と同じ手順で、この大観山レストハウス手前の右コーナーのどこに何があったのかを解析してみようと思いました。

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箱根への小旅行(23)以降の記事

写真が撮影された時の日照の方位や、それを元にした写真の方向が東西南北のどの方角を向いているのか、といった場所を特定するための手掛かりはもうすでに整っている訳ですから、作業としてはさほど手間のかかるものではないはずです。
以前作業を行ったフォトレタッチソフトのファイルを開き、これに大観山レストハウス手前の右コーナーの衛星写真を取り込もうとYAHOO地図を開きました。
そして大観山レストハウス付近を拡大表示し、キャプチャしようとした、その瞬間です。

「…違う!…」

…気が付いたのです。
ここが現場だとすると、説明の付かない重大な矛盾点があることに…!