今年度も開催された「F.A.Lange Watchmaking Excellence Award」は、
ドイツの超高級時計ブランド「A.ランゲ&ゾーネ社」の創業者“アドルフ・ランゲ”が
工房を開いてちょうど165年目の2010年から始まりました。
世界各国にある時計学校関係の機関から、推薦によって選ばれた学生が、
ドイツのドレスデン、グラスヒュッテの工房で1週間のワークショップを体験し、
そこから得たインスピレーションを生かして、課題製作に取り組み、
期限内に作品を提出するというプログラムです。
今回は、フランス・ドイツ・アメリカ・フィンランド・スウェーデン・日本の6カ国から8名の学生が選ばれ、
日本代表は、当校のウォッチメーカーマスターコース3年生・荒深正和さんが参加しました。
ワークショップでは、エングレービングやケースポリッシュ、
ランゲ社製の手巻き時計 Cal.8620のオーバーホールを体験。
また、ドレスデンにある「数学物理サロン」や「ツヴィンガー宮殿」、
世界3大オペラ座に数えられる「ゼンパー・オペラ」の見学を行いました。
数学物理サロンは、16世紀から19世紀に製作された時計や
自然科学的・学術的な機器を集めた専門の博物館で、
非常に貴重なコレクションを見ることができました。
学生たちが取り組んだのは、フルカレンダー機構の製作という、
過去6回と比較しても最も難しいと思われる課題です!
フルカレンダーは、日・曜日・月・ムーンフェイズを備えるカレンダー機構で、
表示されるものが多いので、部品点数も多くなります。
ランゲ社から、ベース時計になるETA6498を手渡され、
これに付加機能として新しいアイデアで作られたカレンダー機構を組み込んでいきます。
今回のF.A.Lange Watchmaking Excellence Awardでは、
難しい課題でしたが非常に優秀な作品が集まり、
通常優勝者1名を表彰するところ、2位・3位の作品も表彰されることになりました。
そして、荒深さんの作品が3位に入賞するという快挙を成し遂げました!
上の写真が荒深さんの作品。
ゼンマイが組み込まれた駆動システムにより、
時間になるとまるでカラクリのようにカレンダーがゆっくりと切り替わるという
独創性にあふれた作品で、ほとんどの部品を手作業で作ったそうです。
この独創的なアイデアと、計算された機構が高く評価され、見事入賞となりました!
A.ランゲ&ゾーネ社から「F.A.Lange Watchmaking Excellence Award 入賞」の
立派な表彰状も贈られました。
非常に喜ばしい結果となり、荒深さんも自信がついたことでしょう。
これからも頑張ってくださいね!