※これは、私と一緒に暮らし始めたミーコとその子供たちとの2000年から2003年当時について綴ったエッセイです。過去記事は『猫家族(エッセイ)』のテーマで絞っていただけますと、簡単に検索できます。お時間がありましたら、読んでいただけますと嬉しいです照れ

 

 

  運動神経が一番良いのはモモである。目も一番に開いたし、動きが一番しっかりしている。階段を最初に上れるようになったのもモモだし、カーテンを登る様子も、カーテンレールの上を歩きまわるのも危なげが無い。鳴き声も、他の子猫がキーキー言うだけで、まだ猫の鳴き声らしくないのに、モモだけはミューミューとしっかりした声で猫らしく鳴く。

 

  しっかりして動じないのは、私が掃除機をかける時にも発揮される。

 サクラもキキも掃除機を知らないこともあって(もちろん知らないのは、モモも同じだが)、音に異常に、否、猫にとっては正常に反応し、すぐ逃げる。ミーコはある程度掃除機に慣れているせいか行動はおっとりしているが、「この野蛮な音には耐えられないわ」、と言わんばかりの風情でその場を去る。

 ところがモモは、「こやつが本当に手強い敵かどうかこの目で見届けてやる」とばかりに、じっとその場に居座り、掃除機の吸い込み口がすぐそこに来るまで決して逃げようとしないのである。逃げる時でも、一メートルほど素早く身を引きまたしばらく観察するといった具合で、サクラとキキが見えない所まで一目散に逃げようとするのと大違いである。

 

 こいつは度胸が据わっているな、と私は大いに感心した。だが、モモの本当の手強さはそんなものでは無かった。

 

モモ、誰に電話をかけるの?