子猫のミャーにトイレの躾をしたことが思い出される。

ミャーは推定生後三ヵ月で拾われたので、この子達より二ヵ月お兄さんの状態でトイレの初体験をした訳だ。

  ミャーを当時の我が家に連れ帰ったのは夜の十時過ぎで、近くのスーパーで取りあえずの餌を買って食べさせ、ダンボール箱で仮のトイレを作った。中は新聞紙とティッシュペーパーである。

  何せ私も新米ママでトイレ訓練など初めてだったものだから、知恵がなく随分のんびりしていた。

  トイレは準備して一旦そこに入れてみたものの、何の匂いもないからミャーには何のことかわからなかったであろう。そんなことにも思い及ばず、食事を与えたら腸が動いてミャーがシッコやウンチがしたくなることなど考えもせずに、お布団の上に連れてきて、一緒に寛いでいたのだから呑気なものである。

  昼間の疲れでウトウトしているとミャーの動きが変なので起き上がってみると、シーツの上に池が出来ていた。泣きそうになりながらシーツを外すと幸い目がつまっている厚手のシーツだった御蔭で、布団は汚れていない。オシッコのついたトイレットぺーパーをトイレに入れ、ミャーを座らせ、「ここがトイレだよ。」と言い聞かせた。

  そうして布団に新しいカバーをかけていると、今度は座布団の上でしきりに匂いを嗅ぎ、体を震わせている。変だな、と思う間もなく、今度は下痢ピーウンチをされてしまった。

なんてこと! 特別カバーもかけてなかったので、糸を外して中の綿を出さなければならない。慌てて、そちらに向かうと、今度はテーブルの下に潜り込み、そこに置いてあった座布団の上にも見事にピーウンチをしてくれた。

  弱ったお腹に久し振りに食べたご飯で、腸が刺激されたのだから無理もない。下痢ピーは可哀相だが、夜中じゅうそそうをされてはこちらもかなわない。必死でミャーの様子に気を配りながら座布団の綿を出し、洗い物をした。(なお、この当時私はある決意の元、断固洗濯機を買わず、全て手洗いで洗濯を済ましていた。)

  幸いミャーは私が用意した箱がトイレだと理解したらしく、次のオシッコは自分で箱の中に入り、済ませたのだ。賢い猫だと感心したものの、それまでのトリプルパンチ(そそうの三連発)がかなりこたえ、まんじりともしない気持でその世を明かした。ちなみに、そうじ洗濯をすませ横になったのは二時過ぎである。

  翌日午前中は用事で動けなかったので、午後になってやっとペットショップでトイレを買った。帰って砂を入れてそれまでの箱の場所に置くやいなや、ミャーがトイレに入って匂いを嗅ぎ、そのままそこでオシッコをしてみせたのである。これは、「僕もう失敗しないよ」と言ってくれたのであって、二度と失敗はないことを私は確信できた。

 

(ミャーの写真をデジタル化したものが今現在無いので、後日アップしたいと思います。)