「なぁ響子、その白黒の翼を持つ半人前の天使と一緒に人々を救ってはくれないだろうか」
「救うって言っても私は・・・」
結はまだ迷っていた
天使を卵の殻から出してあげる代わりに
左耳の不思議な力を無くしてもらうという事を
「ねぇ結」
と天使が声をかけた
結の身体から出ていた黒いモヤモヤはすっかり無くなっていた
「君が疎ましく思うその左耳の力は、神様からの素敵なギフトなんだよ」
「こんな力、ちっとも嬉しくないわ!この力のせいであんなにいじめられて私はずっと独りぼっちだった」
「違うよ、君は独りぼっちなんかじゃなかった。ただ、君が気づこうとしなかっただけなんだよ」
「どういうこと?」
「この剣に、君を映してみてごらん?」
天使は結の目の前に剣を差し出した
結は怖れながら、剣を受け取り
その瞬間
「きゃあ!」
と悲鳴をあげた
結が手にした途端に剣が大きくなったのだ
「その剣はね、持つ人の身体の大きさによって変化するんだ」
天使が笑いながら言った
結は大きくなった剣に自分の姿を映して見て驚いた
剣の中の結の周りには狐や狸、蛇などの、そう昔の仲間たちが沢山映っていたのだ
「結は気づいていなかっただろう?その者たちはいつだって、結が気づいてくれるのをずっと待っていたんだよ」
「人は誰でも使命というものがあって、それに気づいた時から挑戦が始まるんだ」
「私の使命って?」結は訊いた
天使は優しく微笑んだ
「結、今なら気づくはずだよ、君がまだ小さかった頃、大事な約束をしたことに」
「大事な約束・・・」
つづく
笑顔いっぱいの
1日をありがとう!