次の日、アーシャとの朝の散歩を終えたぼくは、

さっそく部屋の整理を始めることにした。

 

アーシャは『日向ぼっこしてくる。』と言って、

いつもの日向ぼっこスポットに行ってしまった。

手伝ってくれると思っていたのに。

 

ぼくの部屋って、いったい何があるんだろう。

ぼくは自分の部屋にあるものを把握できていない。

そのくらい、ぼくの部屋は物で溢れている。

 

服も物も、タンスにぎゅうぎゅうに詰め込まれている。

タンスの奥に何があるかなんて、何も覚えていない。

 

本棚もぎゅうぎゅう。

入らなくなった本は、ベットの下に押し込まれている。

ということは、ベットの下はずっと掃除機をしていないということになる。

机の上には会社の資料が山積み。

資料の上には会社のカバンがどさっと置かれている。

カオスだ。

 

 

「無理・・・。」

 

 

とりあえずぼくは、休息をとることにした。

朝の散歩の疲れをとるためなのだと自分に言い聞かせ、床にごろんと寝転んだ。

そう。現実逃避を始めたのだ。

 

 

「痛!!」

 

 

ウトウトとし始めたとき、足の甲に急に痛みが走った。

恐る恐る足の甲に目を向けると、小さな可愛い手。

アーシャがぼくの足の甲に爪を食い込ませている。

 

 

「痛いよ、アーシャ!」

 

 

『サボっているじゃないか。』

 

 

「物がありすぎて一生終わらないよ。」

 

 

『手を動かせば終わるでしょ。

優くんは、幸せな人生を創るための覚悟が足りないよ。』

 

 

「そんなこと言われても・・・。」

 

 

『部屋に置く物を選ぶということは、

幸せな人生を創るために大切なんだよ。

優くんは「選択する」ということにもっと重点を置くべきだよ。』

 

 

「どうして?」

 

 

『人は1日に何回、選択をしていると思う?』

 

 

「思考の次は選択?思考は6万回だったよね?

そんなの・・・分からないよ。」

 

 

『アメリカの研究結果によると人は1日に3万5千回選択するのだと言われているんだよ。』

 

 

 

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明日はエピソード9-2「魂の望みと幸せな人生の道標」です。