『はっ!!!!』

 

 

これは、アーシャがおしっこをするときにバランスをとる掛け声。

アーシャは雄だから、片足をあげておしっこをする。

 

 

「ねえ、気合を入れておしっこをしすぎじゃない?」

 

 

『ぼくは少しでもかっこいい角度でおしっこをしたいんだ。』

 

 

「誰もアーシャのおしっこする角度なんて気にしていないよ。

どうしてそんなことしてるの?」

 

 

『楽しいからだよ。

かっこいい角度でピタ!!って止まっておしっこするゲームをしているんだ。

ぼくはどんなときでもぼく自身を楽しませているんだ。』

 

 

「ふ~ん。」

 

 

さっきまで壮大な話をしていたのに、

なんだか同じ犬に思えないな。

 

 

『あ!タロちゃんだ。』

 

 

「ほんとだ。」

 

 

少し離れたところにタロちゃんがいた。

タロちゃんは大型犬。

よく、散歩の時間が重なるんだ。

 

タロちゃんは保護犬。

もともとは捨て犬で、山にいるところを保護されたらしい。

保護施設にいるときに今の飼い主である三野さんに出会った。

タロちゃんのことをいつも1番に考えている心優しい方。

 

タロちゃんは人が怖くて、三野さん以外には近づかない。

だから、ぼくは一度もタロちゃんを撫でたことがない。

それでも、ぼくはタロちゃんが大好きだ。

タロちゃんの表情を見ているだけで癒されるんだ。

タロちゃんは神様から愛嬌をたっぷりと与えられたんだと思う。

 

ぼくは三野さんとタロちゃんに大きく手を振った。

三野さんも大きく手を振りかえしてくれた。

 

 

『決めたよ、優くん。』

 

 

「何を?」

 

 

『タロちゃんに、ぼくのかっこいいところを見せようと思う。』

 

 

「え?かっこよくおしっこするところっていうこと?」

 

 

『うん。』

 

 

「見せなくていいよ・・・。」

 

 

『いや。練習の成果を発揮するときがきたんだ。』

 

 

すごく張り切っているアーシャに、ぼくは何も言えなくなった。

アーシャは堂々と胸を張って茂みのほうへと歩いていった。

自信に満ちた誇らしげな顔をしている。

 

 

『ここだ!はっ!!!!』

 

 

また、あの掛け声。

 

 

『あ・・・・・

 

わ!!!

 

あ”ーーーーーーーーーーーーお』

 

 

(バランスを崩して茂みの枝に大切なところが刺さったアーシャ。)

 

ひょこひょこ。

 

 

「歩き方が変だね」

 

 

『・・・。』

 

 

「枝が貫通しなくて良かったよね。」

 

 

『うるさい』

 

 

「タロちゃん見てたね。

三野さん、笑ってたね。」

 

 

『・・・。』

 

 

「アーシャ、今の気分はどう?」

 

 

『・・・。』

 

 

「今の気分は?」

 

 

『しーーーーーーー。』

 

 

「なにその「しー」って。ちょっとイラっとするな。」

 

 

『はっ!!!!』

 

 

次はピタッと止まる。

 

 

『やったー!!今日の最高記録だ!!!

失敗の後の成功って、なんて気持ちがいいんだ!!

 

ぼくって天才。

ぼくってすごい。

かっこいい。

もてもて!!!』

 

 

「タロちゃんに恥ずかしいところ見られたのに、もう落ち込んでいないの?」

 

 

『いいんだ。失敗しても。

挑戦したこと自体がかっこいいんだから。』

 

 

「ふーん。もう機嫌がなおったんだね。」

 

 

『ぼくは不機嫌を維持しないんだよ。

いつでも良い気分になれる思考をもっているからね。』

 

 

「良い気分になれる思考?」

 

 

 

 

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明日は「エピソード5-2 感情は人参と奇跡は気付くもの」です。