じりじりじり。
暑すぎる。
太陽の日差しがさっきよりも強くなっている気がした。
「アーシャ、ちょっとぼくには暑すぎるよ。」
ペロペロペロ。
ゲホ、ゲホ、ウェッホ！！
アーシャは水を飲むと８割はむせる。
『ふう。
何か言った？』
「ぼくには暑すぎるって言ったんだよ。」
ぼくは窓のそばから離れて、リビングにあるソファーに座った。
アーシャはぼくを追いかけてピョンっとソファーに飛び乗ると、
ぼくの膝の上にちょこんと座った。
『優くん、今、どんな気分？』
「うーん。
わからないよ。
どんな気分かなんて、考えたこともないから。」
『考えるな、感じろ！でしょ？』
誇らしげな顔をするアーシャ。
どこでそんなの覚えるんだろう。
『気分は考えるものではないよ。
感じるものだよ。
今、どんな気分？どんな気持ち？
良い気分？それとも悪い気分？』
「そうだな。悪い気分ではないよ。
今日は会社が休みだからね。」
『じゃあ、良い気分？』
「そうだね。」
『会社があるときは、良い気分ではないの？』
「うん。」
『ふーん。
優くんは外側の出来事によって良い気分か悪い気分かが変わるんだね。』
「どういう意味？」
『会社があるときは悪い気分を感じている。
会社がないときは良い気分を感じている。
ぼくは日向があるとき良い気分を感じているけど、
日向がないときも良い気分を感じることができるよ。』
「なにが言いたいの？」
『優くんは起こる出来事で気分が変わる。
多くの人はそうだね。
でも、ぼくは違う。
外側の状況に気分が左右されることはないよ。
なぜなら
ぼくは「気分」というものは自分で選択していくものだって知っているからね。』
「気分を選ぶの？
そんなことできないよ。」
『できるんだよ。
毎朝、クローゼットから服を選ぶように。
カフェでなにを頼むのか選ぶように。
誰でも今の自分の気分を選ぶことができるんだよ。
自分の気分を意識的に選ぶことができる人は
自分の人生を、自分の現実を変えていくことができるんだ。』
「え？自分の人生を？」
『うん。
優くんは、起きた出来事が優くんの感情を動していると思っているね。
嫌な出来事が起きたせいで、嫌な気分になった。
嫌なやつのせいで、嫌な気分になった。
そう思っている。』
「うん。
だって、そうでしょ？」
『違うんだよ。
優くん自身が、その感情を選んでいるんだ。
嫌な気分を選んでいる。』
「わざわざ嫌な気分を選ばないよ・・・。」
『無意識に選んでいるんだよ。
そして、選んだ感情と似たような現実が目の前に現れている。
優くんの日々の選択で人生は創られているんだよ。
大切なのはね、意識して感情を選ぶことなんだ。』
「うーん・・・よくわからない。」
『優くんはこう思っているでしょ？
人生は変えることができないものだ。
偶然起こるものだから。
運命だから。』
「うん。」
『「宿命」と呼ばれているものはあるよ。
ぼくがうさぎや人間にはなれないように、変えられないものもある。
日向ぼっこが好きなのも鶏肉アレルギーなのも茶色い短毛も宿命だ。
それは変えられない。
でもね、変えられるものもあるんだよ。
それが運命なんだ。
運命は自分で選べるんだよ。
今の自分の「気分」次第で運命は変えていける。
幸せも不幸も自分次第なんだよ。
この世界はね
今、自分が抱いている感情と同じような種類の現実を自分自身の未来に引き寄せるんだよ。
それが自然なんだよ。
りんごの木からはりんごが実ることと同じくらい。
木に実るりんごが重力で下に落ちるのと同じくらい。
そのくらい、当たり前のことなんだ。
今、不快な気持ちを感じているなら、優くんの未来は不快な気持ちになる現実が用意される。
今、嬉しい気持ちを感じているなら、優くんの未来は嬉しい気持ちになる現実が用意される。
いつも今の自分が、未来を創っている。』
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明日はエピソード3-3「運命は変えられる？」です。