４丁目カフェ

おかえり☆

美味しいおそばを食べて、打ち合わせを終えて
中央線の電車にのったら、見事に満員で

数えきれない人生や毎日とすれ違って
脳みそがすこしこぼれ出そうだ。

窓の外に目をやると

ちょうどいい、昼さがりと夕暮れどきのあいだで
太陽の稼働時間が長くなったなぁとおもう

季節がゆったりと
夏へ向かっている

通りすぎるきれいな色のマンションや
素敵に古びた家の壁たちは

やっぱりあたしに
たくさんの生活や人々の営みを
今も忘れることなかれと謳う。


届くだろうか。
この街に生きている人たちに

この満員電車で奇跡的に
居合わせたうちの何人かに

あの小さなイヤフォンの中に
繰り返す毎日に疲れた心の中に


そんなこと思ってたら目がうつろだったのか
はたまた、ふくらみかけたおなかにはっと気づいてくれたのか

「どうぞ、ここ」という遠慮がちな優しい声が、とくんと響いて
あたしはスーツの紳士に席をわざわざ譲っていただいた

あなたも疲れてたでしょうに。
あたしより忙しくて緊張する日々でしょうに。

きれいな瞳の彼に
降りるときお礼を言って
電車の中で入った留守電を再生したら

「昨日かおりちゃんが入れてくれた曲
プレゼンで採用されました！」
の、嬉しいお知らせが。

ああー
生きるって、愛おしい！

あたし、もっとがんばろう。




さいきん上着チョイスを毎日失敗して暑いと寒いから逃げられない
かおりより