居心地のいい場所 | いつか見た空の続きを

いつか見た空の続きを

空と書いてゆめと読みます。コラージュ作家、イラストレーター引地渉のブログです。

ちょっと間が空いてしまった。その間に見た展示のことなどを振り返りつつぐだぐだ書いてみる。
DAZZLEで峰岸達さんや二宮由希子さん、伊野孝行さんらが参加していた「ボクラノ昭和時代」という展示を見た。それぞれが描く昭和という世界を見て、改めていい時代だったと思った。
オープニングなのでイラストレーター、峰岸塾の生徒さんたち等でいっぱいだった。何人かと話していて皆前向きな感じがした。前にグループ展を見た時に、それぞれ自由に楽しく描いている印象をうけたので、とても居心地のいい塾なのだろうと思う。技術的なことや具体的なノウハウについて学ぶことも大事だけれど、まず楽しくなければ続けられない。

三鷹の古本カフェに二艘木洋行君の展示を見に行く。カフェギャラリーとはいえ予想以上に小さい展示だった。昔の友人の、壁に隣の部屋のベッド部分が突き出している三畳間を思い出した。当然、作品は小作しかないのが残念だったが、幸運にも本人がいて話が出来た。彼の作品はデジタルだけどラフで自由な感じがあっていい。バグったゲーム画面ような8ビット的な気配は、僕にとってかなりツボなのだが、それを知らないずっと若い世代なのが不思議だ。僕が初めて触れたパソコンは8色中3色しか表示出来ないというショボい仕様だったが、それでも当時は画面に広がる宇宙に無限のときめきを感じたものだ。ある種モダンな色彩のその楽園世界はパソコンの急速な進化とともに消え失せてしまった。そんな時代のノスタルジーに浸りながら彼の絵を見るのは、本人からすると迷惑この上ないのかも知れない。妄想というのは恐ろしいものである。ちなみにこの古本屋にはコラージュの素材に使えそうな、いやむしろ勿体なくて使えないような掘り出し物が結構あった。
彼の友人のqpさんの日記は正直に気持ちを吐露している感じですごくいい。ついつい営業トークに持っていこうとするどこかの嘘吐きとはえらい違いだ。色々な展示を見ていて情報的価値も高いと思う。今週から個展もあるみたいだ。

銀座のギャラリーQで河野紋子さんが参加している企画展を見に行った。ロリコンチックな少女の立体と平面が並ぶ様は、ポスト村上・奈良を彷彿させる展示だった。高額にもかかわらず作品も売れていて、現代美術のマーケットは好況みたいだ。
今まで自分はあまり作品を売る事に熱心ではなかったけれど、最近少し揺らいでいる。仕事で作品を作るとどこか分不相応な場所に居候しているようなある種の後ろめたさを感じる時がある。この間訪ねた会社に、中島潔氏の昔の作品が大切に飾られていた。細部まで丹念に描かれたその絵はその場所でとても居心地がよさそうに見えた。