もう、今年90歳とあって、今回がラーストコンサート?(ごめんなさい)になるかもしれないと思って高いチケットだったが購入した。

 

フジ子ヘミング、東京でのコンサートの幕が開かれた。

 

背を丸めて杖をついて舞台裏からゆっくり出てくる様子は、以前のどっしりとしたフジ子さんの姿とは違っていた。

だが、いざピアノに向かうと、その姿はたくましい昔の姿に変わっていった。

 

ピアノの鍵盤本体を見ないで手の感覚だけで力強く弾く。鍵盤の位置をすべて把握しているのである。

楽譜通りにはあまり弾いていないし、たまに間違えることもあるが、ショパン、リスト、ドビュッシー、すべての曲を自分のものにしている気がする。  

 

甘い香りのするショパンのノクターン。
息をのむように、はっとさせられるリストのカンパネラ。
 

個人的な意見だが彼女以上に素晴らしい心のこもった演奏をする人は見たことがない。
彼女の奏でる音に深い情感がこもっていて聴く方も圧倒される迫力である。

ヨーロッパでの長年の間に培ったもの、そして、たくさん苦労し、たくさん蓄積した経験などもこのような奥深い演奏に導いてくれるのでしょう。
 

レースで飾られシルクでできたユニークな服装やヘアスタイルもオリジナルでとても素敵。
 

うっとりとして時間を忘れさせてくれるコンサートだった。
 

フジ子さん。今日のこの感動をありがとうございました。