こんなに使える経済学―肥満から出世まで (ちくま新書 701)

¥714
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□経済学を通じた社会分析をまとめた本です。経済学でこんなことがわかるのか!と目うろこな本です。
短い27の小論(エッセイ)をまとめた本ですが、特におもしろかったエッセイの要旨を書いてみました。
□喫煙者は非喫煙者と比べて200万円ほど不幸である。
⇒幸福度を11段階評価、非喫煙者平均6.55、喫煙者平均6.06となる。幸福度は年収とも相関関係があり、6.55-6.06=0.49分の幸福度の差は年収では200万円ほどの差となってあらわれる。
⇒政策として喫煙者を減らすことが国民の幸福度をあげることとなる。
□雇用に容姿情報は反映させるべきである。
⇒英語教師の容姿と給与には相関関係がある。教師の容姿に対する生徒の反応、雇用側の反応は必然的であるため、仮に雇用で容姿情報をなくしたとしても、「偶然」の形で給与の増減差があらわれてしまう。「偶然」であるため労働者側にはこれを受け取れる可能性は低い
□臓器売買なしに臓器の移植を増やす方法
⇒患者と患者に臓器を提供する意思のあるドナー(親族等で、近親者に相性の問題から臓器提供ができない人など)を多数集めて組みなおすことで、臓器提供システムを構築。臓器提供システムは、臓器売買とは異なり金銭を介した市場取引ではなく、贈与の分配を目的としている。
⇒マーケット・デザイン(市場設計)という分野のメカニズム・デザイン理論をベースとしており、価格に基づいた伝統的な意味での市場も多数の可能な経済制度とみなし、ゼロから「市場」を設計するという考え方!
□犯罪発生率があがれば地価は下がる
⇒計量経済学の手法(重回帰分析)により犯罪発生率(変数)と住宅地の地価の関係を分析すると、東京23区内の住宅地では窃盗犯罪の発生率が10パーセント上昇すると住宅地の価格は1.7パーセント下落する。
⇒犯罪の発生は、公全体に影響するという意味で「負の公共財」とみなすことができ、仮に4000万円の戸建住宅で土地分の値段を半分とみなせば、犯罪発生率の上昇による資産価値の減少は34万円と試算できる。
⇒つまり住民は資産の目減り対策として34万円までの対策費を見込んでもいいともいえる。
□ 談合と大相撲の八百長は計量経済学により見分けることができる
⇒7勝7敗で千秋楽を迎えた力士が勝ち越しを決める確立は8割近く、しかも勝ちを決めた相手に対して次の対戦では負けやすくなり勝率は4割に半減している。このことから星の貸し借りはあるだろう。
⇒談合もまた、落札の貸し借りから分析することが可能。高い価格を入札して負けたものが「貸し」をつくることができる。他のメンバーに対して貸しを多くもつものが次回の落札者となる。
⇒ある自治体の公共事業123件の落札率の統計をとると大多数の落札率は94パーセントだったが、うち16件は公開された最低制限価格(予定価格の80~85パーセント)を大多数の業者が入札して、くじ引きによる落札者の決定を行っていた。
⇒この16件の公共事業のうち75パーセントにはある2社の業者が参加しており、彼らは談合に参加しないアウトサイダー業者で、市場から締め出すために他の業者が利益度外視で落札したことがわかる。
⇒談合の条件は相撲と同じで、①当事者同士なんらかの手段を用いてお互いに各自の情報や将来のプランについてコミュニケーションを取れること、②同じ顔ぶれが何度も顔をあわせる状況があること。
□ お金の節約が首を絞める
⇒不況になってもお金はなくならない。不況の原因は節約を考えることによってお金がまわらなくなる人災である。
⇒夕張市は2006年に300億円以上の負債を抱えて倒産した。原因のひとつはテーマパーク建設等の拡大型観光事業にあった。しかしもし施設の建設も維持管理も夕張市民が行っていれば、金融機関から借りたお金は夕張市民に支払われ、市内に残り、市税により破綻は防げた。
⇒つまり夕張市の破綻は、夕張市の拡大型事業に対して、市外の業者が割り当てられたために、お金が市外に流出してしまったために起こったといえる。したがって自治体が破綻を防ぐ事業を進めるとすれば、できるだけお金が外に出ず、外から入るだけの事業を行うと効果的といえる。しかし国全体の活性化には結びつかない
□「騒音おばさん」を止めるには
⇒騒音おばさんを止める方法は、裁判に持ち込み加害者がお金を支払う方法と被害者をお金を支払い騒音を止めてもらう方法がある。
経済学の観点「パレード改善」・・・現在の財の配分状態から他の配分状態に変えた場合に、少なくとも1人の状況が以前よりも良くなっていて、状況が悪くなっている人が誰もいないこと
⇒パレード改善の達成は、利害関係者総体の利益の最大化を目的とする。
⇒もし事前に法的権利が確定していて、人々がコストなしに自由に交渉することができ、その取り決めをきちんと執行させることができれば、損害賠償に依存しなくてもパレート改善が達成できる→「コースの定理」
⇒コースの定理は感情論に縛られずに、最終目標を達成する方法を考えさせてくれる。
■ 総評
読みやすさ:★★☆☆☆
⇒短いエッセイをまとめたものなので、著者によって差が出ています。わかりにくいものも結構ありました・・・。
斬新性: ★★★★☆
⇒経済学の地平をひろげる意味で出版されており、各エッセイの切り口は斬新そのものです。
読み直すべき頻度:☆☆☆☆☆(一度読めばよい)
⇒入門書なので、これを通過点として、興味のあるテーマについては、より専門的な本を手に取るべきでしょうか。
お薦め度:★★★★☆
⇒切り口が豊富な本なので、いろいろと学ぶところは多い。ぜひ一読を!

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□経済学を通じた社会分析をまとめた本です。経済学でこんなことがわかるのか!と目うろこな本です。
短い27の小論(エッセイ)をまとめた本ですが、特におもしろかったエッセイの要旨を書いてみました。
□喫煙者は非喫煙者と比べて200万円ほど不幸である。
⇒幸福度を11段階評価、非喫煙者平均6.55、喫煙者平均6.06となる。幸福度は年収とも相関関係があり、6.55-6.06=0.49分の幸福度の差は年収では200万円ほどの差となってあらわれる。
⇒政策として喫煙者を減らすことが国民の幸福度をあげることとなる。
□雇用に容姿情報は反映させるべきである。
⇒英語教師の容姿と給与には相関関係がある。教師の容姿に対する生徒の反応、雇用側の反応は必然的であるため、仮に雇用で容姿情報をなくしたとしても、「偶然」の形で給与の増減差があらわれてしまう。「偶然」であるため労働者側にはこれを受け取れる可能性は低い
□臓器売買なしに臓器の移植を増やす方法
⇒患者と患者に臓器を提供する意思のあるドナー(親族等で、近親者に相性の問題から臓器提供ができない人など)を多数集めて組みなおすことで、臓器提供システムを構築。臓器提供システムは、臓器売買とは異なり金銭を介した市場取引ではなく、贈与の分配を目的としている。
⇒マーケット・デザイン(市場設計)という分野のメカニズム・デザイン理論をベースとしており、価格に基づいた伝統的な意味での市場も多数の可能な経済制度とみなし、ゼロから「市場」を設計するという考え方!
□犯罪発生率があがれば地価は下がる
⇒計量経済学の手法(重回帰分析)により犯罪発生率(変数)と住宅地の地価の関係を分析すると、東京23区内の住宅地では窃盗犯罪の発生率が10パーセント上昇すると住宅地の価格は1.7パーセント下落する。
⇒犯罪の発生は、公全体に影響するという意味で「負の公共財」とみなすことができ、仮に4000万円の戸建住宅で土地分の値段を半分とみなせば、犯罪発生率の上昇による資産価値の減少は34万円と試算できる。
⇒つまり住民は資産の目減り対策として34万円までの対策費を見込んでもいいともいえる。
□ 談合と大相撲の八百長は計量経済学により見分けることができる
⇒7勝7敗で千秋楽を迎えた力士が勝ち越しを決める確立は8割近く、しかも勝ちを決めた相手に対して次の対戦では負けやすくなり勝率は4割に半減している。このことから星の貸し借りはあるだろう。
⇒談合もまた、落札の貸し借りから分析することが可能。高い価格を入札して負けたものが「貸し」をつくることができる。他のメンバーに対して貸しを多くもつものが次回の落札者となる。
⇒ある自治体の公共事業123件の落札率の統計をとると大多数の落札率は94パーセントだったが、うち16件は公開された最低制限価格(予定価格の80~85パーセント)を大多数の業者が入札して、くじ引きによる落札者の決定を行っていた。
⇒この16件の公共事業のうち75パーセントにはある2社の業者が参加しており、彼らは談合に参加しないアウトサイダー業者で、市場から締め出すために他の業者が利益度外視で落札したことがわかる。
⇒談合の条件は相撲と同じで、①当事者同士なんらかの手段を用いてお互いに各自の情報や将来のプランについてコミュニケーションを取れること、②同じ顔ぶれが何度も顔をあわせる状況があること。
□ お金の節約が首を絞める
⇒不況になってもお金はなくならない。不況の原因は節約を考えることによってお金がまわらなくなる人災である。
⇒夕張市は2006年に300億円以上の負債を抱えて倒産した。原因のひとつはテーマパーク建設等の拡大型観光事業にあった。しかしもし施設の建設も維持管理も夕張市民が行っていれば、金融機関から借りたお金は夕張市民に支払われ、市内に残り、市税により破綻は防げた。
⇒つまり夕張市の破綻は、夕張市の拡大型事業に対して、市外の業者が割り当てられたために、お金が市外に流出してしまったために起こったといえる。したがって自治体が破綻を防ぐ事業を進めるとすれば、できるだけお金が外に出ず、外から入るだけの事業を行うと効果的といえる。しかし国全体の活性化には結びつかない
□「騒音おばさん」を止めるには
⇒騒音おばさんを止める方法は、裁判に持ち込み加害者がお金を支払う方法と被害者をお金を支払い騒音を止めてもらう方法がある。
経済学の観点「パレード改善」・・・現在の財の配分状態から他の配分状態に変えた場合に、少なくとも1人の状況が以前よりも良くなっていて、状況が悪くなっている人が誰もいないこと
⇒パレード改善の達成は、利害関係者総体の利益の最大化を目的とする。
⇒もし事前に法的権利が確定していて、人々がコストなしに自由に交渉することができ、その取り決めをきちんと執行させることができれば、損害賠償に依存しなくてもパレート改善が達成できる→「コースの定理」
⇒コースの定理は感情論に縛られずに、最終目標を達成する方法を考えさせてくれる。
■ 総評
読みやすさ:★★☆☆☆
⇒短いエッセイをまとめたものなので、著者によって差が出ています。わかりにくいものも結構ありました・・・。
斬新性: ★★★★☆
⇒経済学の地平をひろげる意味で出版されており、各エッセイの切り口は斬新そのものです。
読み直すべき頻度:☆☆☆☆☆(一度読めばよい)
⇒入門書なので、これを通過点として、興味のあるテーマについては、より専門的な本を手に取るべきでしょうか。
お薦め度:★★★★☆
⇒切り口が豊富な本なので、いろいろと学ぶところは多い。ぜひ一読を!