一般病棟に転棟してから付きまとう
体外設置型VADを入れての入院生活
トラブル続きな日々の記録の前に
この機器の事を少し書いておきます
私が入れた体外設置型左心補助人工心臓の種類はBiofloat(バイオフロート)と呼ばれるもので、医療機器を手掛けるニプロと国立循環器病研究センターとで共同開発されたもの。
体外式を入れる背景として⇩
劇症型心筋炎や急性心筋梗塞などを原因として全身状態が急激に悪化する心原性ショックの急性期治療で、薬物療法やIABP(大動脈バルーンパンピング)やPCPS(経皮的心肺補助)などの循環補助が行われます。
それでも回復が見られない場合は、短期使用を目的としたLVAD(左室補助人工心臓)を装着し、回復すればLVAD離脱、回復が見込めない場合は長期使用可能なLVADへと橋渡しされることがあり、私の場合は劇症型心筋炎でIABP→PCPS→体外式LVAD(Biofloat)が入っていた。
遠心ポンプの仕組み⇩
Biofloatの特徴として⇩
30日間の使用に耐えるような遠心型血液ポンプに送血・脱血カニューレ回路チューブを組み合わせた動圧浮上方式非接触回転型というタイプで体外設置型の遠心ポンプとしては世界初で唯一のもの。
・羽根車が血液ポンプ内で周囲に接触されずに回転するため、血液成分を傷害しないので血栓ができたり、溶血したりする事が少ない構造
・内部はコーティングされていて血栓ができにくい
・血液は左心室→脱血管→遠心ポンプ→送血管→上行大動脈へと流れる仕組み
・3000回転~7000回転
・最大9㍑の血液を送り出す事ができる
・モーター部は約1kg
・コンソール部は約8kg
私に入れられていたBiofloatも
画像のような感じで心窩部の左辺りから
2本の管が出ていて、
遠心ポンプまでの長さは約2m程
動く時は1人で行動しては駄目
リハビリもポータブルトイレも
ベッドサイドのみ。
すぐそばにある床頭台や冷蔵庫、洗面や棚に
行くこともできずトイレとリハビリ以外は
ベッド上生活だった
VADを入れているリスクとして
血栓ができやすかったため、
ストックした飲み物をしまってもらったり
欲しい時に出してもらったりが
頻回でまぁまぁ気を使ってた
飲み物以外の物はできるだけ依頼しなくても
いいように、オーバーテーブルの上に
100均で買ってきてもらったカゴを置いて
よく使うものを厳選して入れたり、
ベットサイドの手の届く位置に
面会用の椅子を置いて、そこにも雑誌や
癒しグッズや食べ物なんかを置いていた
一番厄介だったのが
〝血栓ができやすい〞ということ。
説明ではできにくいと書いたけど、
人によりできやすい事もあるという。
体外設置型のため心臓からポンプまで2m→
ポンプから上行大動脈まで2mの合わせて
4mの長さを血液が流れる。
私は血栓がとてもできやすくて半日の中でも
目まぐるしく変化し、回路の途中で血栓が
できては消えということを繰り返した
日勤や夜勤の検温時などにペンライトで
照らしながら、鏡を使用し裏側までくまなく
何回も血栓確認を行い回路内の血栓を探す。
血栓があったら位置や大きさ・数・
色(白、赤、黒など)なんかを観察する。
黒色血栓(溶けにくい)ができていたり、
送血管の方で可動している・・
なんてなったら大変
それが飛んだら脳梗塞になる可能性が大
なので、ドクターを呼んで血栓の確認を
してもらって血栓を溶かす作戦を始めたり…
とにかく体外式が入っている間
ずーっと血栓問題&動けない問題が
つきまとっていた
心筋炎が落ち着けば離脱できるし
きっと装着しててもあと数週間かな
と、まだそんなことを考えていた
ICUを出た当時。
まさかBiofloatの使用期間30日を
大幅に越えて、血栓との戦いになるなんて
思っても見なかったんだ……