紫陽花(アジサイ)色のもののふるなり

 

たくさんの小さい花が集まって咲くきれいな紫陽花は、土壌の性質や咲いてから散るまでの間に、クリーム色水色→青→青紫→赤紫(ピンク)と花の色を変えることから「七変化」「八仙花」などの別名もあり、初夏を彩る代表的な花として人気だ。

 

実は、アジサイはアジサイの花びらに見える部分は萼(ガク)で、中央の丸い粒々が本来の花である。

 

 

アジサイの咲き方

アジサイの咲き方には大きく2種類あり、中央の花を囲むように咲く「額咲き」と、ブーケのように丸く咲く「手まり咲き」がある。

 

アジサイの色

アジサイの花にはアントシアニンという色素が含まれており、それに土から吸収されたアルミニウムが加わることで青みを帯びる。

土壌が酸性の場合、アルミニウムが溶けて吸収されやすくアジサイは青みの花をつける。

アルカリ性の土壌で育ったアジサイは赤みの花をつける。

 

酸性土壌の強い日本では青~青紫のアジサイが多く、アルカリ性土壌の強いヨーロッパではピンク~赤紫のアジサイが多く見られる。

 

青、青紫色の花言葉

花言葉は「冷淡、無情、高慢、辛抱強い愛情、あなたは美しいが冷淡だ」

 

ピンク、赤紫の花言葉

花言葉は「元気な女性」

 

白色の花言葉

花言葉は「寛容」

 

ガクアジサイの花言葉

花言葉は「謙虚」

 

 

乳母車(三好達治)

 

母よ――

淡くかなしきもののふるなり

紫陽花(あじさい)いろのもののふるなり

はてしなき並樹のかげを

そうそうと風のふくなり

 

時はたそがれ

母よ 私の乳母車(うばぐるま)を押せ

泣きぬれる夕陽にむかって

轔轔(りんりん)と私の乳母車を押せ

 

赤い総(ふさ)のある天鵞絨(びろうど)の帽子を

つめたき額にかむらせよ

旅いそぐ鳥の列にも

季節は空を渡るなり

 

淡くかなしきもののふる

紫陽花いろのもののふる道

母よ 私は知っている

この道は遠く遠くはてしない道