いつの日覚えたのだろうか
紫陽花(あじさい)が咲く頃に
この詩の一片が思い出される。

 

 

 

 

母よ
淡くかなしきものの ふるなり
あじさいいろのものの ふるなり
はてしなき並樹のかげを
そうそうと 風のふくなり
 

 

 

淡くかなしきもののふる
あじさいいろの もののふる道
母よ 私は知っている
この道は 遠く遠くはてしない道

 
三好達治「乳母車」より