2019年(平成31年)の幕開けは、韓国大法院判決による元徴用工らへの賠償問題、韓国艦艇による日本の海自哨戒機へのレーダー照射(ロックオン)問題、123日には東シナ海「離於島:イオド」付近で日本の哨戒機が韓国海軍艦艇に低高度の近接威嚇飛行を行ったと韓国が糾弾する問題で、日韓間の不信が日々増幅し悪化しています。

 

話を進めるにあたり、次の点を抑えておきましょう。
■韓国における国民情緒法とは

韓国における国民情緒法は、国民情緒に合うということさえ満たせば、行政・立法・司法は、国務会議の審議、大統領の条約締結などを経た既存の実態法に拘束されない判断や判決を出せるという、法律を軽視した風潮を揶揄した言葉で、皮肉を込めたもの。韓国内では法律、条令、条約をも超越します。

これら情緒は、圧力団体や学者の私見によって具体化され、マスコミが煽ります。そして、これを受けた大衆世論によって国民情緒法の成否が判断されます。

国民情緒法は、このように韓国が外交上の礼節や法律を無視して、韓国国内世論のみに従って、関係国に悪影響を及ぼしたときに、その原因や背景として説明されます。

ある政権時に有効に成立した条約が、後に、別の政権によって覆されるということは、国としての体をなしていません。

 

これらを踏まえ、これから本題に入ります。項目は1)元徴用工への賠償問題と2)韓国艦艇による日本の海自哨戒機へのレーダー照射(ロックオン)の問題となります。
 

1、元徴用工らへの賠償問題とは

元徴用工らへの賠償問題で、韓国大法院(日本の最高裁に相当)は2018年(平成30年)10月と11月に日本企業の新日鉄住金と三菱重工業に、損害賠償を命じる判決を出しました。

更に、元徴用工側は新日鉄住金が賠償に応じていないとして、リサイクル会社PNRの株式(新日鉄住金と韓国の鉄鋼大手ボスコとの合弁会社で主要株主は国民年金管理公団 6.81%新日鐵住金 3.32%SKテレコム 2.85%、浦項工科大学校 2.18%)の差し押さえを裁判所に申請し、株式の譲渡や売却ができない状況を作っています。

 

■日韓請求権協定とは

 正式名称は「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」といい、通称「韓国との請求権・経済協力協定」ともいいます。ここでは日韓請求権協定と統一しておきます。
 

日韓基本条約と日韓請求権協定とは

1965年(昭和40年)622日に日本の佐藤栄作政権と韓国の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領で「日韓基本条約」が締結され、日本は韓国との間に国交を樹立し(第1条)、韓国併合条約など戦前の諸条約の無効も確認し(第2条)、韓国を朝鮮半島の唯一の合法政府と認めました(第3条)。

これに付随して交わされたいくつかの協約の一つが日韓請求権協定となります。

 

サンフランシスコ平和条約とは、第二次世界大戦後の日本国と連合国各国の平和条約で、1952428日発効により連合国による占領は終わり、日本国は主権を回復しました。

 

 

日韓請求権協定の第2条では、「両締約国は両締約国及びその国民(法人を含む)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。」と規定しています。

 

簡単に言うと「日本が韓国に対して、独立祝賀金、発展途上国支援としてお金を支払うので、韓国もこの協定を結んだ日より前の戦争中に生じた問題などについては、一切請求しないでね」という協定です。

また、この協定に関して紛争があり、解決できない場合は第3条1項で、外交上の経路を通じて解決するものとし、同条23項で第三国を交えた仲裁委員会に仲裁を頼むことを定めています。

 

日韓請求権協定に関して知っておくべきこと

     日本は、韓国の独立により朝鮮半島に残したインフラ・資産・権利等、在韓資産52.5億ドル( GHQ調査)を放棄。

     日本は、当時の韓国の国家予算3.5億ドルに対し、韓国国家予算の2年分以上の資金を下記のように提供。(日本の外貨準備額は18億ドル程度)

3億ドル相当の生産物及び役務: 無償(1965年)(当時1ドル=約360)

2億ドル 円:有償金(1965年)

3億ドル以上: 民間借款(1965年)

     日韓交渉中に、韓国人となった朝鮮人の日本軍人軍属、官吏の未払い給与、恩給、その他接収財産などの対日債権に対して、韓国政府は「個人への補償は韓国政府が行うので日本は韓国政府へ一括して支払って欲しい」と主張。

     韓国政府はこの供与及び融資を日本に対して債権を有する個々人にはほとんど支給せず、自国の経済基盤整備の為(浦項総合製鉄、昭陽江ダム、京釜高速道路、漢江鉄橋、嶺東火力発電所などを建設)に使用。

     以上のこれらの事実を「意図的」に韓国政府は韓国国民に知らせていません。

     韓国内で、経済発展資金に回したことが発覚して2014年に裁判になりましたが、日韓請求権協定で受け取った資金を産業育成やインフラ整備など他の目的に使用したことについて韓国の裁判所は「法律に沿うもので違法行為とは見ることはできない」などの理由で原告は棄却や敗訴をしています。

 

徴用工判決がありえないと言われているのは、日韓請求権協定という国際法で「これで終わりにしよう」としたはずの「戦争中に生じた問題」に対して、韓国国内法で請求権を復活させたことに対してです。韓国では前述した国民情緒法が生きているのです。

 

日本の見解をもう少し見ていきましょう。

日本の見解

1、朝鮮人に対しての未払い賃金などの補償問題は「日韓基本条約」で解決済み。

2、「日韓基本条約」の交渉の際に、日本政府は「未払い賃金など、個人への補償をする」と提案しましたが、韓国側が断っています。従って、この契約の締結後に個人に対して補償する義務は韓国政府にあるという立場です。

3、日本政府は旧日本軍による従軍慰安婦といわれている問題についても、この協定に基づいて個別賠償はできないとの立場

4、       韓国政府も2005年には、協定が定めた経済協力金に元徴用工への補償問題解決の資金も含まれるとの見解を発表。

5、請求権協定に深く関わった金鍾泌元首相は2017年に文書で「1961年に新政府が発足したが、国庫が空っぽであり、国家安保や経済再建という国家財源確保のためには韓日会談の再開による日本の請求権資金しかなかった」

6、また、「請求権資金を元手に韓国は経済大国に発展し、恩恵を受けた企業は巨大な財閥級に成長した」と日本との国交と提供資金がどれだけ韓国の発展に必要だったのかを説明しています。

7、日本の裁判所も請求権協定により、韓国政府が個人への支払いの責任を取るべきだと結論付けています。日本政府はこれに基づき、元徴用工への補償問題は解決済みとの立場です。

 

2、韓国駆逐艦のP1哨戒機に向けての火器管制レーダー照射問題

次は、火器管制レーダー照射問題です。これはご覧いただくとわかりますが、韓国側の説明がコロコロと変わっていき、論点をすり替えています。

まずは、本件の時系列による韓国側の応答を見てみましょう。

     ●韓国側主張〇日本側主張とし、検証のため注に連番を付しました。

 

20181220

●韓国の「クァンゲト・デワン」別名「KDX-1」と海洋警察庁の警備救難艦「サンボンギョン」の2隻は遭難信号を出して漂流中だった北朝鮮の漁船を捜索中(注1

20181221

〇岩谷防衛大臣は、海上自衛隊が韓国軍によってレーダー照射されたことを発表。

●韓国国防省は「レーダー使用は遭難した北朝鮮船舶捜索のため(注2)で、海自の哨戒機を狙ったわけではない」「遭難した北朝鮮船舶の捜索のために使用した」

20181222

〇防衛省は「火器管制レーダーは広範囲の捜索に適さない。遭難船舶の捜索には水上捜索レーダーを使用するのが適当だ」と反論。

●韓国国防省は「気象条件が悪く(注3)、遭難船を迅速に見つけるため、火器管制レーダーを含む全てのレーダーを作動させた(注4が、哨戒機を狙う意図は全くなかった」と反論。

20181223

●韓国国防省は、「哨戒機が駆逐艦の真上を通過する「威嚇的な行動」を取ったため、レーダーに付随した光学カメラを回して監視した。しかし電子波の放射は一切なかった」(注5と発表。

20181225

●韓国国防省は、「一切の電波放射はなかった」(注6

●韓国国防省は、「誤解を解くため今後、日本との協議が行われる」と発表。

〇防衛省は、「韓国海軍艦艇からの火器管制レーダー特有の電波を一定時間継続して複数回照射された」と反論。

20181228

〇防衛省は、YouTubeに日本語と英語でレーダー照射された際の自衛隊の対応状況などの動画を公開。

●韓国は、「日本の英語の発音が流暢でないから何言っているのか聞き取れなかった」(注7)と自衛隊員の英語の発音が酷かったから、返事しなかったみたいなことを言い出した。

201912

●韓国側は、YouTube映像のことを「証拠とも言えない」と反論。

●救助活動中の駆逐艦に対して海上自衛隊機が「威嚇的な低空飛行をした」(注8として、日本に謝罪を求める声明を発表。

201913

●韓国国防省が韓国側の主張をまとめた映像をYouTubeUP公開。哨戒機の飛行について「駆逐艦の乗組員が騒音と振動を強く感じるほど威嚇的だった」(注9)と非難し、射撃管制用レーダーの照射を改めて否定。
 

 韓国駆逐艦
 

韓国の応答変遷について

1、レーダーは遭難信号を出して漂流・遭難した北朝鮮船舶捜索(注1、注2))のために使用。

2、気象条件が良くなく(注3)、遭難船を迅速に見つけるため、火器管制レーダーを含む全てのレーダーを作動させた(注4

3、艦艇の上空を低空飛行したので、レーダーに付随した光学カメラを回して監視した。しかし電子波の放射は一切なかった」(注5

4、一切の電波放射はなかった」(注6

5、日本の英語の発音が流暢でないから何言っているのか聞き取れなかった」(注7)

6、救助活動中の駆逐艦に対して海上自衛隊機が「威嚇的な低空飛行をした」(注8

6、哨戒機の飛行について「駆逐艦の乗組員が騒音と振動を強く感じるほど威嚇的だった」(注9)

レーダー照射を行ったが(注123)、レーダー照射は行っていない(注56)とする強弁や韓国側の低空飛行に関する証拠映像もないのに、事件から13日も経ってから哨戒機が低空飛行した(注89)と論点をすり替えているのがよくわかります。

 

韓国側の主張に対する反論

■北朝鮮の遭難船救助活動について反論

◇日本のEEZ内で北朝鮮の遭難船が遭難信号を出していた(注1)というなら、

①日本の哨戒機が北朝鮮漁船の遭難信号を受信しないのはなぜか?

②韓国艦艇2隻だけが遭難信号を早めに受信したのはなぜか?

 

1228日、YouTubeで日本側が公開した映像では、気象条件は良好であった(注3)

また、同映像では、すでに北朝鮮側の漁船らしきものが映っており、捜索中とは言えない。(注1)単なる遭難ならば、気象条件についてなぜ嘘を言わなければならなかったのか?

 

SAR協定 (Agreement on Search and Rescue Regions) につき、1990年(平成2年)5月に「日本国政府と大韓民国政府との間の海上における捜索及び救助並びに船舶の緊急避難に関する協定」(日韓SAR協定)が締結されていますが、遭難時の連絡等が行われた形跡はありません。(注13

◇遭難救助なら、縦に上から国際海事機関が採択した国際信号書に定めるN旗及びC旗が掲げられますが、掲げられていません。

◇遭難救助中又は捜索中と主張するなら日本側の周波数の違う無線で3回呼びかけるも応答はなかった。なぜ応答しなかったのか?

◇海洋法に関する国際連合条約(平成八年七月十二日条約第六号 )第29条の軍艦の定義 によると、「軍艦」とは一の国の軍隊に属する船舶であって、当該国の国籍を有するそのような船舶であることを示す外部標識を掲げ、軍艦旗などの掲揚が義務付けられているはずなのに、ユーチューブの映像では、韓国の駆逐艦には軍艦旗はおろか国旗すら掲揚されておらず、明確な国際法違反。
 

■火器管制レーダーを照射

◇火器管制レーダーを照射する行為は「これから武器で攻撃する」という意味になり非常に危ない行為で友好国同士の間では通常ありえない行為。なぜ、照射したのか?(注2)

 

◇韓国は「洋上での不慮の遭遇をした場合の行動基準(CUES)」という国際取決めの参加国。このCUESの条項2.8.1 a においては、不慮の遭遇をした場合に控えるべき行動として、「砲やミサイル・火器管制レーダー・魚雷管やほかの武器を遭遇した船舶や航空機に向けて、攻撃のシミュレーション」をしてはならないと規定。この行為も国際法違反。(注4)

 

◇約430秒のその動画は、大半を日本が発表した動画を勝手に使い、韓国側からは、日本の哨戒機が低空飛行した証拠が示されていません。恥ずべき行為と言わざるを得ません。(注5・7)

◇友好国だから、仮に聞き取れなかったら、聞き返すのが礼儀でしょう?(注7)

◇軍艦が相手の言葉がわかりませんで、諜報戦ができるのでしょうか?(注7)

 

 

韓国が日本に対するマニュアルとは

上記の2つの事件について、韓国の日本に対する態度は下記のように見られます。

〇日本人が反論してきたら、大声で怒鳴りつけろ。そして謝罪を求めろ!

〇体面を気にする日本人は、嘘をついてでも、国際社会で叩け。

〇騙せない相手でも一度はだますことを試すことは常識。日本人には弱みを見せるな。

〇日本人が正しいことを言い始めたら関係のない間違いを指摘してはぐらかせ。

〇相手がうんざりするほど交渉は引き延ばせ。

〇相手が謝罪したなら訴えろ。

 

日本が韓国に対応する事項

冒頭の韓国における国民情緒法、圧力団体や学者の私見によって具体化され、マスコミが煽る。これを受けた大衆世論によって成否が判断される。という、このフレーズおぼえていますか?

韓国又は韓国人は次の特徴があると理解しておきましょう。

〇対等という概念がない。どちらが優れているかということが関心事。

〇絶対謝罪してはいけない。優利と認識し居丈高になる。

〇後日に至るまで金品を強請させるほか、惨禍を招く原因となる。

〇虚言を弄する習癖があるので絶対信用しないこと。

〇手段を択ばず、国際法や条約を守らない国と理解すること。

〇理由は聞くな、どうせ、たいしたことは言っていない。

〇恩義に感じるということが無く、信用し、頼りにするな。情けをかけるな。

〇頭痛のタネになるだけなので、関わり合いとならない。

 

以上韓国との関わり合いは、上記事案を見ても、リスクが多いということを肝に銘じましょう。