贅沢な悩みだけど、ラピュタが次から次へと大映映画をかけてくれるから、感想が追いつかない。どんなしょうもない感想でも、一応書いておこうと思いながらなかなか。
とりあえず大映東京の未ソフト化作品だけ、取り止めのない感想を。
「軍国酒場」
およそ二年半ぶり、二回目の鑑賞。出演男子は前回の感想に書いた通りで、とくに今回新しく発見したことはなかったかな。相変わらず学ラン組のひとりと、ヤクザ組のひとりが顔判別できず。
前回観た時には気づかなかったが、佐々木尚夫はクレジット出演だったのね。台詞は渡辺久雄のほうが多かったように思うけど。
とにかく軍服姿の高浜くんが最高!!な映画です。たぶん会社側(大映)も高浜くんの軍服姿を見たくて製作した映画なんじゃないかしら。高浜くんは戦争ものの映画にあまり(全く?)出演していないからね。
「猫は知っていた」
この映画は筋書きも面白く(第一回江戸川乱歩賞受賞作)、花野くんの登場シーンも多くて、見応えあり。今回の大映バイプレーヤー特集のなかでも上位にはいる好きな作品だった。もう退院できるのに仮病使ってる花野くん。探偵小説好きを名乗りながら、実際の推理では仁木多鶴子にすっかり出し抜かれている花野くん。かわいいです。
花布辰夫をただの好々爺では終わらせない大映の配役は相変わらず上手いなあ、と感心。遠藤哲平の少し不気味な雰囲気(失礼!)も上手く活かされていた。
原作小説がこの映画上映の少し前に新装版で何十年か振りに発売されたのも何故か妙に嬉しい。角川の『読んでから見るか〜』じゃないけど、そういう小説と映画の連動企画みたいなわくわくを味わうことは、旧作映画ばかり観ている私のような人間にはなかなか無い経験なので、新鮮でした。
「一刀斎は背番号6」
何年か振り(四年振りぐらい?)の鑑賞。原作者も野球選手も登場して賑やかな映画です。
四年前にこの映画を観た過去の私曰く《八波むと志の後ろにいる男子かわいい》とのことで、一体どの男子のことだろう、なんて思いながら観ていたら、なんと山中雄司ではないですか。これには少し驚き。というのもわたくし山中雄司は1961年組(1961年の大映映画からデビュー、の意)だと思っていたものですから、なぜ1959年の映画に出ているの?どうして?と戸惑い。
私が今まで仲村隆(1960年組)の後輩だと思っていた山中雄司は本当は仲村隆より先輩だった、という衝撃。
考えてみると四年前の私はまだ山中雄司と若松健の区別がついていなかったのかもしれない。それでこの「一刀斎は背番号6」で八波むと志の後ろにいる男子は若松健だろう、若松健(1957年組)が1959年の映画に出演しているのだろう。そう思い込んで今回のような勘違いが起こったわけでした。
四年前のわたしに言いたい。その男子は若松健ではなくて山中雄司だよ、と。そして四年前の私に共感することは、《ほんとうに八波むと志の後ろいる男子かわいいよね》ということです。本当にこの山中雄司めちゃくちゃ美男子です。永久保存版です。大映ありがとう。
「電話は夕方に鳴る」
こちらも四年振りぐらいに鑑賞。
仮面舞踏会という最高のシチュエーションを用意してくれてありがとうだけど、仮面被ってる時間が長すぎるよ。最後の最後にしか可愛いお顔を見せてくれないのは少し勿体ない。おめめきゅるきゅるの有川雄ちゃんをもっと映してくれてもいいのに、と贅沢を言いたくなる。
クレジットでは有川雄、森矢雄二に並んで青山邦夫の名前あり。青山邦夫は「闇を横切れ」のプレスシートでも見かける名前だが、まだそのお顔を確認できたことが無い。誰だろう。もうすでに知ってる俳優の別の芸名、という可能性もあるが。
上に文句みたいなことを書いてしまったが、私は前々から吉村公三郎監督の撮る若者が好きなんだな。増村監督、吉村公三郎監督、枝川弘監督。この三名の監督の映画に出てくる若者たちは愛らしくて好きだ。封建的な田舎町で情熱を持て余している若者たち、いう意味では、今特集のオープニングを飾った「ぐれん隊純情派」と重なるところもあります。
「都会の牙」
若松和子さんのトークショーの記憶が濃くて、本編のほうをあまり覚えていないという本末転倒(?)なことが起こってしまっている。でもアクション映画にあまり興味のない私がとても見やすくていい映画だ、と思った記憶がある。たしか無音のピストルを使って闘っていたはず。それが良かったのかも。わたしは銃撃音の激しいアクション映画は疲れてしまうから、あまり好まないのです(もちろん嫌いではないが)。
杉田康の悪党振りが最高点に到達してしまった映画でもあります。悪すぎます悪すぎました。
「へうたんから出た駒」
若い頃の小原利之、きりりとした良い男です。若い小原利之は「淺草紅団」で既に見たことはあったのだけど、今回の役のほうが隙のないエリート刑事という感じで、正統派二枚目でした。
戦後間もない頃から、あの独特の雰囲気で大映脇役界隈の主力を担っていた万太郎と凡太朗の二人はやっぱり凄いや!と思った。万凡と比べると、花布洋や今井荘一郎なんて赤ちゃんみたいなものだよね。特に花布洋は1965年組(推定)だから、仮に入社当時二十歳前後だとして、1945年生まれの可能性もあるわけで、赤ちゃんという表現もあながち間違いではないかもしれない。