「父さん、今月も来たよ!弁護士として少しずつだけど成長してるよ。真面目な父さんを見習って、顧客に誠心誠意で向き合ってるから。見守っててね。」

翔さんと2人で父さんの墓参り。
翔さんの希望で毎月1度花をたむけてお参りする。
翔さんも手を合わせて何かを話してる。

申し訳ない気持ちは無くならないって言ってたから、翔さんの気持ちが少しでも楽になるのならと思っている。




再会から3年経った。

俺は民事を主としながらも、刑事の方にも関わるようになった。

翔さんはフリーの立場は変わらないものの、事件の被害者や加害者のその後についてのルポ記事を書き始めた。

「櫻井なら被害者の立場も加害者の立場も気持ちをわかってあげられるんじゃない?」
神崎さんからの提案だった。

そして、その御家族達が苦しんでる事がわかって時々サロンの様なものを開催して交流をはかっている。俺も出来るだけ参加している。




お互い忙しくなってすれ違いの生活も増えて来た。

なので一緒に住む事にした。

朝の5分10分でも夜の1時間でも一緒にいられるだけで良かった。


貴重な2人の休日時間。

映画や買い物に行く事もあるけど

家でマッタリゆっくりするのが1番好き。


翔さんの隣に座って肩にもたれたり、手を握ったりキスしたり。

なかなかベッドから出られない日も。

甘えられるだけ翔さんに甘えている。





「翔さん、朝ごはん、冷蔵庫に入ってるから食べてね」

寝ている翔さんに小声で話しかける。

「.........ん」

「ふふっ、行ってきます」

「.........潤、何か忘れてる」

「だって翔さんを起こしちゃうから」

「だぁめっ!」

ベッドで上半身だけ起こした翔さん。

「行ってらっしゃい」

ゆっくりと行ってきますのキス。






「ただいま潤」

夜遅く、翔さんが帰ってきて寝ている俺の頬にチュッ。

「.........んん、翔さん、おかえりなさい。むーぅ」

と口を尖らせてみる。

「ふふっ、全く」

と笑いながらもゆっくりと優しいキス

キスだけじゃ止まらないんだけど。




何気ない日常

だけど毎日が特別



どうかこれからも明るい未来でありますように。



~完~



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読んで頂きありがとうございました。