潤の元から逃げて2年以上。


海外にでも移住すればいいんだろうけど、日本を離れる勇気もなくこの街にとどまっている。

仕事も『櫻井翔』を封印したくて『二宮和也』というペンネームで活動している。
まぁ、潤はそんな事とっくに気づいているらしく、出版社に問い合わせしてるようだけど。



潤は元気にしてるだろうか?
彼の事だから司法試験に合格してバリバリ働いているだろう。

そろそろ彼女も出来てるかな?
外見も完璧、性格も良いときたら女性が放っておかないだろう。

潤からもらったコーヒー豆も、無くなってしまうと思ったら飲めずにいて気がついたら消費期限はとうに切れている。

『Big Field』のコーヒーが飲みたい.........。





あれ以来、仕事は自宅でする事が多くなった。

あれ以来、住んでいたマンションには近づいていない。
もしかしたら潤に遭遇するかもと思って行くのをやめていた。


だけど

拘っているのは俺だけかも知れない。

潤にしてみれば、父親を殺したも同然の俺の事なんて思いだしたくもないだろう。



俺が思い出に浸るくらいは許してもらえるだろう.........。

久しぶりに住んでいた街をブラつく事にした。


付き合ってほんの数ヶ月間だけど、この街はあちらこちらから潤の思い出が降ってくる。
笑った潤、怒った潤、頑張ってる潤、甘える潤、そして妖艶に鳴く潤。


マンションは変わらずそこに建っていた。
前を通ると管理人さんにバッタリ会った。

「あれ~?櫻井さんじゃないですか?こちらに戻ってこられてるんですか?」

管理人には突然この地を離れる事になったと言っていた。

「ええ、まあ」

「そうでしたか.........。あ、そう言えば、甥っ子さんと連絡取られました?引越しされてからてすぐにここに来て、びっくりされてましたよ。 」

「あ?ああ、はい」

甥っ子とは潤の事だ。
まさか、こんな年の差の同性カップルだとは管理人には言えるはずもなかった。





マンションを通り過ぎて少し歩くと見慣れない建物があった。

あそこはスーパーだった場所。

あれが食べたい、これは値上がりした、翔さんお酒ばっかり(怒)なんて話しながら買い物した記憶が蘇る。

今はファミレスに変わったのか。

思い出の地が1つ無くなっていて寂しかった。
と同時に、気持ちを1つ整理出来そうだと思った。


じゃあ久しぶりに今日はこのファミレスで仕事しよう。





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2人の再会が今日だと楽しみにされてましたよね?!

ごめんなさい💦

焦らしま~す😎😜😈