神崎さんの話は俺にとって衝撃的だった。


あの週刊誌の記事に翔さんが関わってたのか.......。


翔さんの事だ、俺に顔向け出来ないなんて考えて姿を消したんだろう。

馬鹿だね、今の俺は翔さんを失う方が数百倍辛いのに。


確かにあの事件が起きて、最初に記事にした週刊誌を恨んだ。
代議士が記者会見をした日から、家の周りに記者が常駐して俺は学校へも行けなくなった。
でも母さんも俺も、父さんが悪い事が出来る人じゃない事は解ってたし警察が動いたからには真実が解明されるのは時間の問題だと思っていた。



だけど

どんどん父さんが独断で不正を行ったと断定されようとしていた。



父さんにとって信頼していた代議士に裏切られたショックは大きかった。
曲がった事が大嫌いな父さん。

連日の取り調べでも淡々と事実を語っていたと聞いた。

でも疲労と、俺と母さんへの負い目から精神も崩壊していったのだろう。

取り調べからの帰り、そのまま姿を消して、次に俺と母さんの前に現れた時は冷たくなって動かなくなっていた。


死を持って抗議するって言うけど死んでしまっては何も出来ない。

ハンサムで真面目で正直で。
尊敬する父さんだけど、故に弱さを家族に見せる事が出来なかったんだろう。

父さんに頼られる程大人になっていない自分が悔しかった。


父さんが亡くなっても代議士から謝罪はなかったし、葬儀にも姿を現さなかった。
退職金という名のお金が事務所の人から渡されただけだった。




翔さん達週刊誌は悪くない。

悪い事をしていたのは代議士と第1秘書だし、それを暴こうと頑張ってくれたんだから。

翔さんが責任を感じる必要はない

と思っている。





あの夜

翔さんはどんな気持ちで俺の話を聞いてたのかと思うと、胸が苦しくなった。