さくらいしょうさん.........か。



電車が見えなくなるまで見送った。

彼女かよ!


来なくなった理由がわかってホッとしたし、嫌われた訳じゃなくて嬉しかった。あ、店がね!


さくらいさん、海外に行くような仕事だったんだ。
って事は英語は勿論、他の外国語もきっと堪能なんだろうな。だって、頭が良いのはあの外見からだけでも充分わかるもんね。

知的でハンサムでスタイルも抜群で、男としてあんな風な大人になりたい。ってまだ会って半月、会話で10分足らずだけど。


明日からまた店に来てくれるって言ってたよね?
明日は何番からだっけ?

もっともっとさくらいさんの事が知りたいと思った。



プルル、プルル

『潤?どした?』

たった今、バイバイしてきた雅紀に電話する。

「あったよ、あった!」

『ん?何?何か探してた?』

「さくらいさんだよ、さくらいさん!」

『.................誰?』

「もぉー、お客さんだよ、来なくなった。」

『ああ』

「もぉ、何でそんなに冷静で居られるの?取材で旅行に行ってたんだって!明日からまたお店に来てくれるって!」

『あらそう。良かったね』

「もぉー、雅紀はテンション低いー。」

わぁー、良かったねー!明日が楽しみ!

「もぉー、雅紀ってば.........」

どうせどうでもいいと思ってんだから(怒)




次の日

智に話をして豆をあげた。

「なかなか日本では手に入らない豆だな。こんなもの貰っていいの?」

「あのお客様も智に入れてもらえって。」

「じゃあ、あの人が来たらこの豆でコーヒー入れるから潤も一緒に飲んでいいぞ!」

「いいの?やったー!」

「潤の贔屓だもんな」


智の言葉に一瞬?と思ったけど、またさくらいさんと話せると思うと胸が踊った。

早く5時にならないかな~。


って、俺、勝手に一緒に飲もうとしてる。
智はいいって言ってくれたけど、さくらいさんの仕事の邪魔か.........。


そして午後5時を少し回った頃

ドアが開いて、さくらいさんが入ってきた。

「こんにちは」

「いらっしゃっいませ!昨日はありがとうございました。今、マスターにあの豆でコーヒー入れてもらってます。マスターからお許しが出たんですけどお邪魔じゃなかったら御一緒してもいいですか?」

「え?いいの?嬉しい!」

嬉しいのはコーヒーが飲める事?

それとも.........、

んな訳あるか(笑)
何期待したんだ?俺。


2人で席に着いて待ってると、智がコーヒーを運んできてくれた。

「いらっしゃいませ、いつもありがとうございます。この度は貴重な豆もありがとうございます。日本ではあまり手に入らない豆でした。私も奥で頂きます。どうぞごゆっくり。

「ありがとうございます。いただきます。」

智の接客は珍しい。

あまり見た事がなくてちょっと面白かった。