長年気にした上田倫子 『蘭と葵』全7巻を読み終えた

ネタバレあり

蘭と葵という人の話でなく、葵の家紋を戴く徳川家につかえた蘭という女忍びのストーリー

徳川三代目将軍家光と忍びで従者に過ぎない蘭の愛の行く末は、、

読者なら、主役が結ばれる結末を期待しながら読み進める

蘭と葵の場合、

分かれた2人がいつかまた寄り添うことを想像しながら

それが叶わないと知ったときの想いの引き具合を味わう

 蘭以外の相手と出会い、ノルマだった後継ぎを産む役目を果たした家光の晩年は….

それでもそのとき想いは蘭へ寄り添う

ヒロイン蘭の姿は、ラスト何ページにも渡り描かれないまま、
家光の視点で終わってしまうので、

蘭の気持ちをはかることができない名残惜しい、

徳川家を守るため命による人と夫婦となり、
陰から支えることに徹し、その後どう人生を終えるのか

意識するのは‥

彼女の人生は満たされていたか、とか家光を恋しく思い出しただろうか、とかetc.

家光が生涯を終えるラストシーンが悲しいのはなぜかな、とか

蘭の両親を描いた前作『月のしっぽ』『月の吐息愛の傷』は結ばれて明るく終わるからいい

『蘭と葵』のあの雰囲気は

 女版、源義経のりょうにタイムワープを扱った『りょう』を思い出す

りょうを愛し、むくわれずに終わる親友の名も葵だった

葵の人生に寄り添う想う、彼が彼女から愛されたら良かった

その点、維盛は愛されたのだからまだ感慨深い

も、りょうが維盛への想いに気づくのは彼の死後だったけれど

そしてりょう自身が死に近づいてゆくあの感じ

どうしようもない弱肉強食の松代の儚さ、平家物語の冒頭が聞こえる

久々の上田倫子作品らしい醍醐味を味わった‥ というより往生を見た…というのか

悲壮を劇的につらくした、そう、

見終えた気がする、だとか

強くて美しいお姫様活劇が惹く上田倫子作品

蘭にも期待し、私から見たらど真ん中も

劇中は嫁に行き遅れ、年増扱いの、生きづらい人生を送る

現在の自分と上手くシンクロをおこす

戦にセクシャルはノルマ、必至、書かないと危ないで見終えたらいい

ロマンチックに演出よい、そう 達成している、

てなわけで、長く書くのはおいて、

あとは心境に御座したい

終焉もみじ