腹膜透析 ~生きるための透析 APD研修 昼は自由に、夜間にゆっくり治療したい~ | hikaru_youのブログ

腹膜透析 ~生きるための透析 APD研修 昼は自由に、夜間にゆっくり治療したい~

一通りCAPDの研修を終え、一日4回のバッグ交換を体験する。操作は何とかできるようになったが、退院してからやるとすれば、透析液の加温を忘れずに行わないとバッグ交換ができないので、この工程をきちんとやらければ! 
透析液は加温してから5時間経つと使用してはならないということなので、手抜きしようとしてもダメなんだな。

病室にAPD機器「ゆめ」が運ばれてきた。結構大きいぞ。夜間帯に何サイクルか透析液交換を行うため、透析もレギュニール5Lバッグと昼間帯に腹膜内に入れておくエキストラニール1.5Lとなる。今後、毒素の抜け方、除水量を見ながら液量を変更していくらしい。

APD機器「ゆめ」は現行「かぐや」の前のバージョンの機器で、透析バッグも一つ一つと繋がなければならず、一次透析用バッグと最終透析用の透析液バッグの接続位置も指定されているので作業量は多く間違えないようにしないとならない。この手順を一つ一つ間違えないようにできるまで何度も研修する。昼は透析をしないで、この操作の修得研修、夜には夜勤のナース立ち会いのもと本番環境で実施することになる。
今は既にバクスター社はAPD機器を「かぐや」に変更しているので、今後のAPD機器は「かぐや」になると思う。
そうそう、排液の終盤におしりの辺りがチクチクする時の対策は「ゆめ」や「かぐや」でも設定によって排液を少し残すことで回避できる。ドクターに話して設定してもらおう。

「かぐや」は操作を音声でなくディスプレイでもサポートしてくれるので、初めての方もとっつきやすいと思う。「かぐや」と透析液、排液タンクとをつなぐためにかぐやセット(透析回路)があり、そのかぐやセットと透析液と排液タンク用チューブを所定の位置にセットしてオンするとワンタッチで接続してくれる。一次透析用バッグと最終透析用の透析液バッグもQRコードで判別してくれるので、接続位置も気にすることはない。
「ゆめ」から「かぐや」に変更になるということで、月一回の通院時にバクスターの方から、一回レクチャーを受けた。「かぐや」の研修はそれだけで完了できるほど、「ゆめ」を修得するのに比べれば簡単であった。
「かぐや」はモバイル通信機能があり、先生には日々の透析実績のデータが送られる。また、設定変更も遠隔操作でできるため、いちいち現場で作業してもらわなくてもよい。

APDは「かぐや」と「つなぐ」、キャップキット、かぐやセット(透析回路)、透析液バッグ、排液タンクである。透析液バッグは、CAPDよりも多くのサイクルで液交換をするため、5Lバッグ+αを使用する。透析のサイクルはドクターが決定する。
透析液は全部使い切るわけではなく、透析サイクルによって5Lバッグで大丈夫だったり、5Lバッグに2Lバッグあるいは5Lバッグを追加したりする。
APDの終盤では5Lバッグ×2、エキストラニール1バッグだった。

「かぐや」の使用方法は、
(1)透析液バッグの2液を混合する
(2)透析液バッグのチューブとかぐやセットを接続
(3)加温バックをセット
(4)排液タンクに排液用チューブをセット
(5)プライミング(回路開通確認等)
  ※数十分かかるので気長に待つ!
(6)プライミング完了後、「つなぐ」で身体のカテーテルと接続して透析開始
  ※「かぐや」と身体の間のチューブは相当長いので、隣の部屋でTVを見

   たり、飲んだり?できるが、トイレまでに行けるかは間取り次第
(7)初回排液は、頑張って全て排液できるようにして下さい。残ると効率な透析効果が得られなくなる恐れがある。
(8)注液が始まると一安心。規定量注液できたか確認してみましょう。
(9)あとは指定の透析サイクルを繰り返すだけなので、就寝していいでしょう。 朝までお休みなさい!
(10)画面が『治療の終了』となっていたら、「つなぐ」で切離しを行う。
(11)ドクターの指示に従い治療結果をAPDノートに転記するとともに、朝の体重、体温、血圧も忘れずに計測してメモしましょう。
(12)画面に従い加温バッグと透析液バッグに残った液を排出させる。
(13)排液タンクから排液用チューブを取り外す。
(14)かぐやセットと透析バッグを取り外し、キャップを取り外して廃棄する。
(15)排液の確認(色、濁り、フィブリンの有無等)後、廃棄・消毒

(6)のプライミング中に出口部の消毒をするとよい。入浴は当然、APD接続前に終わらせておこう。
問題になるのは、透析中のトイレ! これは「かぐや」で一時中止して「つなぐ」で接続を切離し、トイレに行く。その後「つなぐ」で接続して「かぐや」で再開するというプロセスでOK。具体的には、
【一時切り離し】
 (1)かぐや画面の一時停止を押す
 (2)カテーテルのクランプを閉める
 (3)つなぐで切り離す
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 (4)つなぐで再接続
 (5)カテーテルのクランプを開ける
 (6)かぐや画面の再開を押す

透析液バッグとかぐやセットは結構かさばるので、うまく丸められるように工夫したほうがよい。毎日、1セット廃棄になるため、私は週2回の燃えるゴミの日に出してた。自治体によって、ゴミの出し方が違うので、自治体のホームページ等で確認するか、電話で確認するとよいと思う。

APDの機器一式を設置するスチール3段棚(W600×D450×H800mm)をホームセンターで購入した。それと透析液のダンボール1ヶ月分を保管するスペースとして約1畳分を確保したつもりが、結構キツキツだった。透析液が日光に当たらないように遮光カーテンを閉めっぱなし、でもたまに換気もしたいので透析液のダンボールの配置を変えながら窓開けしていたなぁ。

APDは夜間帯に液交換はするが、日中帯に透析液を貯留しない方法と日中帯に透析液を貯留する方法がある。
私は、夜間帯の液交換にはレギュニール、最終注液にエキストラニールを使用していて、日中帯はその透析液がお腹に残っていた。
エキストラニールは透析効果を高めてくれる液のようで、毎月の血液検査で毒素の抜け具合を見ながら、液量や濃度、液の種類を検討して処方してくれる。

ここで、余談だが、日中帯に透析液を貯留する治療方法では、その分お腹が膨れて体重が増加する。ベルト一つ分ぐらい大きくなると思ってほしい。最近は、カジュアル姿での勤務が増えているのだが、当時はスーツを新調した。健康診断では腹囲測定で必ず指摘されるので、いちいち言い訳するのが面倒だった。

APDでは夜間にエラー音がなると焦る。真夜中でもヘルプデスクに電話をして対応することができるので安心だ。
でも、私はまずマニュアルを見て対応するように心掛けた。エラーには必ず原因がある。どのプロセスでのエラーなのかがわからないと何度も同じ過ちを繰り返すことになる。ヘルプデスクに電話したときも、どのプロセスが誤ったのか必ず確認した。実はそのほとんどはマニュアルに載っていた。
よって、プライミングからやり直したことは一度あったが、途中で透析を中止したことは一度もなかった。実は「ゆめ」での透析液の接続等の操作を踏襲していたので、それに従っていれば、エラーが少ないことに後で気づいた。
たまに製造ロットのミスがあるらしいが、別のロットで再開できるなら問題は少ない。ミスロットを排除すれば済むことだ。
エラーと対策がマニュアルにあるということは、それは既知の事実であり対応策がわかっているということ。それに従うのが一番の解決策だ。できれば、マニュアルにどのプロセスで発生したものかを追記してくれたら、嬉しいのだが。
大体は人間の操作ミス、メンテモレから出てくるエラーが多い。センサーが増えてることもありメンテ情報も追記してくれるとよいと思うなぁ。

入院中は、ほとんど何もすることがないので、マニュアルを読みふけっていた。これが功を奏したのだろう。元々、マニュアルは読破するクセがあるのでAPD機器はもってこいだったのかもしれない。
おそらくナースよりも、早くエラーの解決策を見つけていたと思う。ここだけの話だが、実は「かぐや」の設定ミスを見つけてバクスター社に修正してもらったこともある。手計算は誤りが多い。