腹膜透析 ~生きるための透析 CAPD研修・消毒研修 1日4回治療、1回1H程度で治療できる~
腹膜透析導入の入院後にナースから説明があると思われるが、次の物は早めに調達しておくことをお勧めする。
(1)出口部から出ている数十cmのカテーテルを収納する物
(2)入浴時に出口部とカテーテルを保護(防水)する物
⇒入院中はナースが防水処置をしてくれることがある
私は、ナースから「パルメディカル社」のカタログを渡され、
(1)カテーテル収納袋
(2)入浴用バッグ
を購入した。宅配便で病棟まで着払いで配達を依頼した。
なお、カタログは、ここの「CAPD在宅ケアーパック」を参照してほしい。
https://www.palmedical.co.jp/catalog/
楽天市場やYahooショッピングサイトでも、販売しているようである。
腹膜透析を開始すると、日々の体重、体温、血圧を測定してCAPD(APD)ノートに記録する必要がある。自宅や旅行・出張先でも必要なので携帯しやすい体温計と血圧計を準備しておくとよい。
私は、腹膜透析のAPD(自動腹膜透析)を選択していたが、まず、CAPD(持続携行式腹膜透析)についても研修を受けた。これは旅行や出張時に使用する。
CAPDは、バクスター社の「つなぐ」という機器と透析液バッグと排液バックが対になっているツインバッグとキャップキットを使用する。ツインバッグは、あらかじめ体温程度に温めておく(入院中はナースが準備してくれる)。透析液バッグは、2液に分かれており直前に2液を混合する。キャップキットはカテーテル切断(切離し)を行う時に使用する。
「つなぐ」で(お腹の)カテーテルとバッグを接続して、排液と注液を行う。
この「つなぐ」は、音声で操作指示をしてくれるので、接続時に電源を入れて、音声指示を聞きながら操作すれば、カテーテル接続~排液~注液~カテーテル切断の一連作業をサポートしてくれるので、心配は無用だ。
透析液バッグはお腹より高い位置に、排液バッグは低い位置に設置する。排液・注液は機器で人工的に行うのではなく、高低差を利用して重力に任せて液交換を行う。具体的には透析液バッグはスタンドに吊るし、排液バッグは床に置く。
排液バッグと透析液バッグにはそれぞれストッパーが付いており、これを順序通り開閉して液交換をする。順序を間違えると、お腹に液が入っているのに注液したり、透析液が直接排液されたりするので、きちんと覚えなければならない。
めんどくさそうに感じると思うが、基本的に
(1)透析液バッグの2液を混合する
(2)お腹に入っている液を「排液」する
(3)空になったお腹に「注液」する
(4)排液バッグのストッパーと透析液バッグのストッパーは同時に開けない
このポイントを押さえておけば、次第に間違えなくなる。
入院中、何度も繰り返し本番環境で研修するので、嫌でも覚えてしまうでしょう。また、「つなぐ」の音声操作指示があるので、安心だ。
排液の終盤におしりの辺りがチクチクする時がある。これは腹膜内のカテーテルの先端が膀胱直腸窩(ダグラス窩)に当たるために生じる。注液すればチクチクは治まるが、どうしても我慢出来ない場合は、ドクターに相談して排液を早めに終了するなどの対応をしてもらうとよい。
液交換後、排液の状態を観察する。
(1)排液の重量を測定し、メモする。
(2)濁っていないか⇒通常は黄色で透明
※濁度を確認する簡易判断シートがある
(3)色は黄色っぽいか⇒血液が混ざるとオレンジ色になる
(4)何か異物はないか⇒白いフワフワした塊(フィブリン)が浮く時がある
異常があれば、ナースに報告する。
また、一日一回と入浴後に出口部を消毒する必要がある。一日4回の液交換(バッグ交換ともいう)のうち一回を消毒するタイミングにすれば忘れない。あるいは入浴後にまとめて消毒してもよいと思う。
私の場合は、病院で配布した消毒キットを利用していた。キットには消毒液が浸された綿棒とガーゼが入っている。テープは退院後は個人調達となる。
(1)出口部のガーゼを外す
(2)綿棒で出口部の周りを消毒
(3)出口部をガーゼで覆い、テープで固定
この時、出口部の状態を観察する。
(1)赤くなっていないか
(2)化膿していないか
(3)何か液体が出てきていないか
問題があれば、ナーズに報告する。
入院中は、バッグの加温、スタンド、はかり、ハサミ、テープは病院が用意してくれるが、退院後は、自分で準備しなければならないので、早めに調達しておく。
バッグの加温器は自治体の補助金が出るので、購入後に忘れずに申請するとよい。加温器が届くまでは、バケツに40℃ぐらいのお湯を張り、その中にツインバッグを入れて加温したり、即席カイロを利用するとよい。ただし、電子レンジは爆発の恐れがあるので絶対に使用してはならない。
スタンドは、コート掛けやフック等があれば代用ができる。各種のフックを百均で揃えておくと旅行や出張用にも使える。
・太めの紐(輪にしたり縛ったりフックが使えない時)
・S字フック
・マグネットフック(スチールドア用)
・吸盤フック(ガラス窓用、壁に使えることあり)
・鴨居用フック(鴨居を上下で挟むタイプ)
・ドア用フック(ドア上部に挿すタイプ)
はかりは、3~5kg用のバネばかりが携帯に便利である。
テープは、肌によってかぶれたりするので、ナースや薬局等に相談するとよい。私は優肌絆とスキナゲートを使用していた。通販でまとめ買いしておくと安心である。ちなみに医療費控除のために領収書を取っておいたほうがよい。
病院によっては、入院中に一時帰宅を許可して自宅で腹膜透析治療ができるかを確認する場合がある。その時にホームセンター等で購入するのもよいと思う。