〇繁田信一著『かぐや姫の結婚』を手にした時、実在の
女性である藤原千古を「かぐや姫」として紹介なさって
いるのは素晴らしいと感じました。
彼女は裕福な父・藤原実資の「小右(しょうゆう)記」
という日記によって、その幼い時から綴られているから
凄いと思うのです。
彼女は約千年前の長和2年の生まれ。それは一条天皇
のご退位・崩御のあった年だから、
彼女にとって、清少納言や紫式部ら才媛の活躍の時代は
昔語りとなってしまっていたのは残念なことと思われま
す。
この書物の魅力は、主な王朝貴族の誕生年表や系図、藤
原実資家の荘園所在地図、小野宮と称された邸の推定復
元図、
また所在地図、千古に縁のある寺院の地図、兄弟姉妹と
の関係、
その他幾通りもの人脈図など資料が豊富で、千年前の王
朝生活や婚姻に関わる風習を赤裸々に、懇切丁寧に解明
しておられる名著と言えるのです。