又吉直樹さんの火花を拝読しました。
 
芥川賞を受賞されたのが2015年なのでもう5年も経ったのですね!
お陰で図書館ですんなり借りれました(笑)
「火花」はまるで映画を見ている様で、世界に入り込んでしまい一気に読んでしまいました!
 
 
 
何気ないシーンがほとんどにもかかわらず命が宿っているリアルさがいい。
後半ははっと我に帰ると涙が滲んでいる自分がありました。
 
 
主人公の徳永と先輩芸人の神谷との繊細なやりとりに、人間の葛藤や嫉妬や怖れや喜び共感や怒りを見ては、これだけ自分の深淵をさらけ出しながら、お互いの洞察力が正に「火花」として放たれるさまは、この小説の冒頭と末尾のシーンに花火大会として象徴的に表されていて、とても美しい状況描写なんだけど対する内面描写は二人の儚く哀しい切ないシーンとして描かれていて、ほんとに凄すぎる。
 
真の勇気を必要とする場面と言うものはとても恐ろしい。
そんな怖い!?やりとりのくだりの中にも、そこはかとない静寂が横たわっているという、とても心に静かに染み込んでいく小説でした。
 
 
このはりつめた静寂感!?の中にもとても安らぎと温かさをも感じてしまうのは、これは一重に書き手の又吉さんの懐の深さなのか?と感じ入ってしまいます。
 
 
最後はどう締めくくるのか?とドキドキしながら読み進めましたが、ラストはうわ〜〜〜〜こう持って来るのか!!とのけぞりましたが、ピエロのようなおかしみと哀しみと、バッドエンドでも無くハッピーエンドでも無く・・・ 「生きてる限りバッドエンドはない。僕達はまだ途中だ。」 主人公のセリフがよみがえる。
 
 
基本的に登場人物がみなさんそれぞれに懸命に生きてられていい人!?ばかりだ。
なので、ベースには優しい目線が交錯しているので読後も後味は良い。
 
 
私自身が去年の年末に大阪から東京練馬に引っ越して来た所で、この小説に出てくる井の頭公園や吉祥寺、吉祥寺から上石神井駅まで歩く風景や距離感があまりにリアルにわかるのでより印象深い一冊となりました。
又吉さんが故郷大阪から上京され、東京でがんばっておられた半自叙伝のこの小説は自分も何だか励まされました。(僭越ながらです〜〜(笑))
この時期にこの本を手にとったのも何かのご縁かしら〜!?と忘れられない一冊になりました。
 
 
 
 
 
 
 
すぐ近くに大きな図書館があり、なんでもそろっていて、ついつい借りてしまうのでした~(・・;)