忘れもしない去年のちょうど今ごろ┉。

G 市から峠を越えてO市に抜ける林道がある。
近くにバイパスが出来る前は利用する車も多かったが、近年に殆ど往来する車もない。
涼風が心地好く、新緑も清々しかったので久し振りに知人とドライブした。
谷あいに響く鶯の声。柿の若葉がそよ風に揺れ、耕作前の田んぼは見渡す限りの菜種畑。
そんな水彩画のような風景に溶け込んでみようと、林道の旧道に入り、車をゆっくり進めた。
右側は急峻な森が続き、左手に
菜種畑の遠近が眺望る緩やかな下り坂をゆっくりと車を進めた。
乾いた土の道の轍に沿って車は右に大きくカーブした。

「えっ?」
「あらっ?」

知人と僕は、殆ど同時に声を出した。
~続く~



季節を幾つも飛び越えて

あどけないあなたが旅立った

覚えているのは遠ざかる風景

あまりにもさりげない夏の扉


昨日までの静かな語らいは夢の途中

何気ない語らいは風のかたみ

どうしてこんなにも無邪気に
時は僕を取り残したのだろう


あなたの心は大人への階段を昇る
後ろ姿を見送る僕を振り返ることもない
ただ信じる心を追いかける夏の弔い


僕には あなたのために出来ることも

あなたの人生を守ることも叶わない

だから変わらない自分を生きることになる





 












紫陽花の詩(うた)

いつだって虹色に染まる
水彩画のようにほのぼのとして
仄かな光の中に揺らめいて
七色の風を呼び起こし 色を映す

貴女は相変わらず飾らない笑顔で
6月の風をゼリーにして
僕の前にやって来るのだろう
そしてその優しさを 紫陽花に映す

静かな語らいの時を歩ませながら
茶店で七色団子とシャボン玉を買い
やがてふたつの影は時を越える

貴女は頼りない指先でシャボン玉を
紫陽花色の空に飛ばして振り向いた

シャボン玉が弾け 貴女は消えた











150坪ほどの野原のような庭園にポツンポツンと咲き出した春女苑。
淡い紅色の花は、清楚で、しなやかで、けな気で物静かです。数年前、片隅に植えたのが、年ごとに思いがけない処で咲き出します。

遠い日、この花のような女性がいたような気がするのは、僕の記憶の不確かな幻想なのでしょうか?



誰もいない(山羊🐐が近くで草を食んでいますが)庭の片隅で、そんな曖昧な妄想に浸っていると、時々、弱い(のかな?)自分が顔を見せてくれます😢そんな心情が好きです。

さだまさしの『春女苑』を紹介します。



今年もまた咲きました 

あなたに似てる春女苑 

だから今もまだあなたと 

暮らしているみたい

花には花の悲しみが 

人には人の苦しみが

いつしか巡る季節の中で 

思い出に変わるかしら


寒い冬には春のぬくもり思い出せず

疑ったり 迷ったり 心は弱いものです


信じていいです 春女苑

必ず咲きます 春女苑


一つが二つ 二つが四つ

気付けば庭中 あなた



今年もまた咲きました 

あなたに似てる春女苑

うす紅に恥ずかしそうに 

うつむいて揺れてます

期待しすぎちゃいけないと 

けれども夢は捨てないと

元気があればなんでもできる 

あなたらしい笑顔


生きてゆきます私 どこかで支えてあなた

春風に糸遊に 咲いてるのはあなたですね


信じていいです 春女苑

必ず咲きます 春女苑


一つが二つ 二つが四つ
気付けば庭中 あなた

信じていいです 春女苑
必ず咲きます 春女苑

二つが四つ 四つが八つ
気付けば庭中 あなた

※糸遊:かげろう





弥生の風に誘われて
一人訪ねた古寺の
侘助椿の花一輪
その散る音のうら哀し


花の香に振り向けば
仄かなる淡紅の梅の花
わが影の虚ろなる足許に
音もなく散りゆくもあわれなり


過ぎし日の如月の夢遥か
遠き日の当て所なき夢さ迷いて
穏やかな東風に空高く消え


あとを追う飛梅の花の色
わが夢の儚さに項垂れて
遠去かる風のかたみに立ち尽くす