島本理生さんの『君が降る日』
久しぶりに恋愛小説を読んだ
3本の短編集。
恋人、親友、過去との自分との
別れがテーマ。
誰かを失って、その失った存在の大きさを知る。
失った時間は、修復することはあっても決して復元はされない。
なぜならば、人間は、確実に昨日の自分と違う自分を今日生きているから。
それが、時間を刻むということなのだろう。
『君が降る日』の中で
主人公の母親が言った
「彼と偶然に出会って楽しかったように、彼のいない世界にも、べつの楽しいことや、素晴らしい景色は、均等にあるのよ」
この言葉を何回も読み返してしまった。
時間は巻き戻せなくて、その中で後悔もたくさんあるけれど
だけど時間が進むからこそ、修復する力もまた生まれるのだとも思った。
良い本だった