「ナナには、ちゃんと話しておきたいと思って」


と高山さんから連絡が来たあの日を思い出す。


新宿のハイアットのレストランで。

「何かあった?」

と聞いた私に

「今から、言うことを黙って聞いて欲しい。自分の中では整理したんだ。だから驚いたり、大丈夫?と
言わないで、最後まで聞いて欲しい。」


その後、

この本に綴られた原体験を

私は絶句とともに、堪えることので

きない涙とともに聞いた。


あれから時が過ぎ、彼の本が新しく文庫本になった。

それも最初のペンネームだった、

浅田マコトではなく、
(初版は、私が帯を書かせて頂きました)

高山真として。


昨日、新幹線の中で読み始めて
夜通し、彼との思い出に浸った。


そして、この物語が映画化される。
嬉しくて泣いて、また寂しくて泣いて。

彼は、空の上から、こんな私をきっと笑って「もう、バカね。」と言ってるだろう。


あらためて、思う。

誰にとっても幸せになる権利がある。
人の幸せは、多様で、誰かの定規で測られるものでは決してない。
この文庫本を抱きしめて、あらためて強く思う。


高山さん。

あなたの魂の叫びを

ここに、世の中に、

残してくれてありがとう。