アナザーフェイス | 気紛れな心の声

気紛れな心の声

気がついたこと 不意に感じたこと とりあえず残してみようって^^…最近は小説化しているけれど、私の書き方が上手くなるように感想くださいね

アナザーフェイス (文春文庫)
文藝春秋
2010-07-09
堂場 瞬一

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あらすじ》

大友鉄は総務課に勤める元捜査一課の刑事。2年前、妻に先立たれたのをきっかけに自ら異動を申し出て、今は義母・矢島聖子の手を借りながら、仕事と一人息子・優斗の育児の両立を目指している。
 そんな大友に、かつての上司・福原聡介から誘拐事件の捜査に加わるよう異例の要請が出される。事件の被害者は6歳になる銀行員の息子。犯人は父親の内海貴義が勤務する銀行に、1億円の身代金を要求していた。
 福原は大友の刑事としての腕を買っていた。2年前の異動に便宜を図ったのも福原だ。大友には恩義のある人物。しかし、捜査に加われば優斗との温かな時間は失われる。奇しくも、その日は優斗の誕生日。大友は悩んだ挙げ句、約束のサッカーボールを優斗にプレゼントすると、しばらく帰れないことを優しく言い聞かせ、捜査の前線へと赴いていく。
 大友は元相棒の柴克志とコンビを組まされる。強面で口の悪い柴とは対照的に物腰の柔らかい大友は、緊張感高まる現場で逆に異彩を放つ。焦ったり怒ったりすれば犯人の思うツボにはまるという思いの大友は、息子を誘拐され冷静さを失う内海や妻の瑞希にも、落ち着いた対応を静かに促す。
 そんな中、犯人から身代金の受渡しに関する電話がかかってくるが、逆探知に失敗。勝負は身代金の受け渡し時に持ち越されることになった。
 翌日、内海は犯人からの指示通り1億円を二つのバッグに分け、都心にあるスタジアムへと向かう。指定された時間は午後3時45分。中途半端な時間を大友は不思議に思うが、現場に着くとその謎はすぐに解ける。午後5時から、そのスタジアムではアイドルグループのコンサートが予定されており、その開場が午後4時。犯人は最も混雑する時間を見計らって受渡し時刻を指定してきたのだった。
 一般客に混じりながら、ジリジリとその時を待つ刑事たち。3分が経過したところで、内海はバッグを置いてその場を立ち去る。すると、その直後に件のアイドルグループのTシャツを着た若い女性の二人組が現れ、一回り大きなバッグに現金入りのバッグを入れると、スタジアムの入口に向かって談笑しながら歩き始める。大友らは意表をつかれつつも二人組を尾行。しかし、スタジアムに近付くに連れ人の波は予想以上に激しくなり、対象の二人はあっという間に同じTシャツを着たファンの群れに飲み込まれていってしまう…。
 その後、人質は無事に解放される。だが、被害者の少年は心的外傷から失語症に。大友は被害者家族の担当となり内海一家に寄り添うことを決める。他の刑事と違って、息子に事情聴取を迫らない大友に対し、内海は信頼を寄せるようになる。
 そんな中、大友と同期の刑事・武本一朗から、内海が勤める銀行に関する意外な情報がもたらされる…。


《私的にコメント》

妻の死をきっかけに大友が選択した行動は是が否か。

仕事をベースに考えると馬鹿な選択となるのかもしれないそれも、家族をベースにすれば有りの選択ともいえるかもしれない。ただ、その類稀なセンスの下で彼に求められる物は違うのかもしれない。

学生時代に演劇をかじった刑事がみせる独特の人間模様は読み手にとっては楽しいものだ。

揺れ動く心の葛藤の中で、日常を必死に過ごす親子の関係は、親になり、手にするからこそ分かる部分も混ざっているのかもしれない