空模様…こんなひとつのラヴソング 22 (一真と元太 1) | 気紛れな心の声

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気がついたこと 不意に感じたこと とりあえず残してみようって^^…最近は小説化しているけれど、私の書き方が上手くなるように感想くださいね

一真は、頭をかきながら講義室に入った。

溜息を漏らしながら周囲を見渡し、窓際の一番後ろの席に座った。

珍しく学校での時間が疲れを感じさせてくれていた。正直な部分では、もう帰りたい。こんなに色々な事に関わる日も珍しい。一晩中、ライブにつき合わせたからと居眠り姫のためにノートを書いた。そうしたら、その親友?に追いかけらた。他は、普段とは変らないが、さすがに二階とはいえ、飛び降りて、追いかけてくるとは思いもよらなかった。

田口法子にとって、松木佳代はどういう存在なのだろう。そして、松木佳代にとって、田口法子は。

昨日からの行動は、無茶以外の言葉が合わない気がする。

とはいえ、二人に関する情報は、皆無といっていいほどにない。同じサークルに在籍している以外、それほど話した記憶も無い。急に興味本位に追いかけられるほどの接点も無い。ついでだが、サークル上では男性陣との接点は多くても、噂立てられるほどの女性人とのかかわりは無い。それなのに…。

「何を疲れているんだ?」

「先輩…か」

「『か』なわけだ…」

「この講義受けてないでしょ?」

「終わった、が、俺の方の講義が休講だから、着てみた」

「暇なわけですね」

「まぁ、そういうことだ」と、如月元太は、一真の隣の席に座った。そして、当たり前のようにその横に安藤涼子がちょこんと座り、無言で一真の教科書を手に取った。

「涼子さん」

「田口さんなら、病院で休憩中よ」

「休憩って」

クスッと一真は笑みをこぼした。

「あれ、大分、痛いと思うよ」

「でしょうね、骨が折れていないだけでもラッキーだと」

「駄目よ、真似する子もいるんだから上層階から飛ぶなんて」

「………怪我は俺が悪いんですか?」

「ん、その方が平和だしね」

「なるほど」

一真は、元太と顔を見合わせながら苦笑をした。

きっと、どんなにがんばってもこの人に口で勝つ事はできないだろう、と。

「まぁ、そっちはいいけど、いいのか?」

「えっ?」

「噂の方だ」

「ああ、どうする事もできませんよ」

「だけど、タチが悪いぞ、今回は」

「つついたところで、ややこしくなるだけですけどね」

「…俺が、というわけには、いかないよな、やっぱり」

「いかせませんけどね」と、一真は、クスッと笑みをこぼした。

天城一真は女誑しだ。何人もの女を食い物にして飽きたら捨てている。それが、入学してすぐに立った噂だった。その噂の発信者は知っている。知っていても、一真は、何もアクションを起こしていなかった。その真意が元太にはわからなかった。でも、同じことになったら、誰にも何もさせないのだろう、と思っている。

「元太、駄目よ」

「ん?」

「一真は、弱ってないんだもん、余計な事はしないの」と、涼子は、教科書を眺めながら呟くように言った。

「解っているさ」

「そ、一真の答え、その先に何があっても、私は一真の味方だからね」

「俺たちじゃなくて?」

「かっこよく言わないとね」

涼子は、ペロッと舌を出していった。

噂の発信者は、涼子の知人だ。元々サークルのメンバーで、元太や涼子とは、仲の良かった友人だった。きっと、あの事が無かったら、親友にもなっただろう仲の良い友人だった。でも、たった少しのすれ違いで、彼女は、サークルから消えていった。

そして、学内でも姿を見かけなくなった。

「そういうものか?」

元太は、溜息混じりに一真を見た。

「さぁ?女性の考えは、俺には解りませんから」

「それはそうだな」

元太は、視線を泳がせながら呟いた。