これも恋物語… 第3幕 49 | 気紛れな心の声

気紛れな心の声

気がついたこと 不意に感じたこと とりあえず残してみようって^^…最近は小説化しているけれど、私の書き方が上手くなるように感想くださいね

第8話


「あっ」

「結構、スムーズだろ…」

「遊び人…」

「まぁ、昔ね…、歩きながら話そう…幸い、30分も歩けば、家だし…」

「えっ?」

「話し終わって、お前が、それでも、って言うのなら…もっと俺をよく知ればいい…」

「………」

「まだ、聞かなくても間に合うぜ…」

「……聞きます…」

「意地っぱりだな…結構」

武は、苦虫を噛み潰したような顔で呟いた。別に、隠す必要の話では無い。でも、どうしても話したいという話でも無い。聞かれれば話すが、特別、それを言って歩く気はなかった。この話を最初にしたのは、天城に、だった。特に、そういう話になったわけでは無いが、なんとなくそうなって話した。天城は、聞いているという程度に、所々で相槌を打ちながら、武の話しの邪魔にならないように黙って話しに耳を傾けていた。まるで、自分の事のように、色々と考え、自分の意見を言ってくれたのは、後にも先にも天城だけだった。

天城一真が、どんな人間かは、実際のところつかみきれていない。底が見えない。と、表現するのが妥当だろうか。付き合いがよく、捌けている、と言った感じで、悩みとは無縁のような顔で人の話を聞く。それが天城だった。表面だけ見ればそれで全てかもしれない。ただ、内面的には、真摯に情熱的に考えているように取れる。それだけに読みきれない男でもあった、が、憎めない男という部分の方が強く、付き合っていられた。

このはは、天城に似ている。何処となくだが、意地っ張りな部分も、他人に感情移入しすぎる部分も。

「無理しなくていいですよ…」

「…いや…無理なんかしていないよ…」

武は、そう言いながら周囲を見渡した。他人に、全くの関係のない人に話すのは二度目だった。あの時は、夜だった。飲み明かし、家に向かう時に、天城が傍にいて、恋の話をした。いつまでも終わらない思い出話を。

それを今度は、聞きだそうとする人が現れる。人生とは不思議なものだ。巡るように、人は流れ、必要に応じて、人は立ち止まる。この出会いには、きっと意味がある。全ての出会いに意味を持たせる勇気、それが本当は必要なのかもしれない。

(人は独りではいられない…か……)

武は、苦笑しながらこのはの肩を抱いた。

(!)

「抵抗しないんだな…」

「抵抗した方が良かったですか?」

「拒絶されるのは…困るけど…多少は…」

「そう……」

「でも、もう遅いでしょ…まぁ、それはそうだね…」