ふぁーすと・きす 17 LastScene | 気紛れな心の声

気紛れな心の声

気がついたこと 不意に感じたこと とりあえず残してみようって^^…最近は小説化しているけれど、私の書き方が上手くなるように感想くださいね

「たく…」

「だって…」

雄大は、祥子の頭をクシャクシャと撫でながらホテルから出た。

「お兄さん…」

「えっ…?」

不意に掛けられた声に雄大は足を止め振り返った。

「えっと…藤崎のりかちゃん…だっけ?」

「…覚えていてくれたんだ」

「……まどかに怒られたからね…名前も覚えていないって」

「その声…貴女なの?」

祥子は、のりかに尋ねた。

のりかは、黙って頷き、雄大に鞄をひとつ差し出した。その鞄がカメラバックである事は祥子にも解った。

「?」

「色々考えたけど…」

「ん…」

「お義兄さん(おにいさん)って呼んでもいい?」

「ああ…いいよ…」

「これ、使ってほしいな…」

「?」

雄大は、差し出されたカメラバックを受け取り、蓋を開けた。そこには、新品のKISSが入っていた。レンズも装着されて。

「これ…」

「毎月ありがとう、それと……ごめんなさい…」

「…いいよ、別に…」

「ん、まだ、笑って話できないけど…話しが出来るようになったら、お姉ちゃんの事を教えてね」

のりかはそう言うと頭を深々と下げて駆けて行った。

「誰?」

「……お前が消し飛ばした、俺の恋人の妹…」

「雄大…」

「お前で、二人目だよな、考えれば、恋人でも、それほど親しい友人でもないの、俺を呼び捨てするの」

「ごめん…」

「いいよ……何時になるかわからないぜ…」

「えっ?」

「生きている女を見るようになるのは…」

雄大は、ポンポンと新しいカメラバックを叩きながら祥子に微笑みかけた。

「意地悪…待ち続けてやる、他に女が言い寄って着たら邪魔してやる」

「おいおい…俺はグラビア中心のカメラマンだぜ…」


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