これから…7 | 気紛れな心の声

気紛れな心の声

気がついたこと 不意に感じたこと とりあえず残してみようって^^…最近は小説化しているけれど、私の書き方が上手くなるように感想くださいね

健太は、部屋をぐるりと見渡した。何処か懐かしい雰囲気がある。きっとこの色合いがすきなのだろう。薄いエメラルドグリーンの壁紙、黄色みかかった白い壁、木目のしっかりとした白い家具。あの頃と変わらない。あの頃のままの弥生の趣味が感じられた。

どうして彼女は消えたのだろうか。

その答えはもうなんとなく解っている。麻奈の存在だろう。麻奈が生まれる事で、起きるだろう歪を嫌っての行動だろう。それがどんな歪になるのかはわからない。それなのに……結果を見もしないうちから答えを決めて行動をする。そこにどれだけ相手を思う気持ちがあろうとも、肯定する事は出来ない。特に当事者としては。でもそれを責める事はできない。その結果を決めさせた自分という存在があるのだから。

健太は、溜息をついて、本棚の本を一冊手に取った。

懐かしい本だった。

―この本の秘密にはきっとすぐに気付くのでしょうね

 もしも麻奈が成長するまで健太がこれを見なかったときは

 健太はここに足を踏み入れなかった、という事でしょうね

 これを読んでいるのは

 健太?それとも麻奈かな

 どちらかが読んでくれたらそれで嬉しいな

 誰も読まずにゴミにされたら悲しいよね

 だから、ありがとう

 健太、麻奈は何歳になったのかな

 あたしに似て美人になった?

 もう結婚して子供も出来ているかもしれないわね

 それとも、もっと早く見つけているかしら

 さて、前置きはこの辺にしておいて

 健太、一つ重大な相談があるの

 それには、ひとつのものを探して欲しいの

 それを見つけることで、謎はなくなるかな…

 でも、その前に行っておかないとね

 ありがとう健太、出会ってくれて

 ありがとう健太、あたしを選んでくれて

 ありがとう健太、愉しい時間を

 ありがとう、ありがとう

 麻奈という命をあたしにくれて

 そして、ごめんなさい

 色々と考えたけれど、あたしにはこれしか思いつかなかったの

 愛している、健太

 いつまでも、いつまでも…永遠という時間を ―

(何したんだ・)

健太は、ポリポリと頭をかきながら椅子に座った。書斎というには少し広い部屋で。

 

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