花に思いを託して・・・ | 気紛れな心の声

気紛れな心の声

気がついたこと 不意に感じたこと とりあえず残してみようって^^…最近は小説化しているけれど、私の書き方が上手くなるように感想くださいね

ひとつの思い出がそこにある

恋とか、愛とか、そういうものとは無縁の思い出だ

出会いがあった

恋心が生まれなかったかといえば嘘になるだろう

ただ、その気持ちに素直になれるほどおかれている状況は自由ではない

倫理とは誰が決めたのだろう

社会におけるひとつの形が存在する

それを否定する気はない

それも心理として認めている

だからこそ・・・ひとつの答えを求めたいのかもしれない

「貴方が好き」と少し戸惑いながら言ってくれた

「『作れるのなら作ってみたら』って言ったから」とバレンタインデーにチョコレートをくれた

ご丁寧に、甘みの少ないセミブラックを使ってのチョコレートだった

「新人なんだけど、くれぐれも手を出すなよ」と、彼女の上司で、俺の仕事仲間は言っていた

が、出会いなど誰かが止められるわけではない

ただ、恋や愛を語るには

倫理から反していた

それだけだった

そして、時がふたりを分かつ

当たり前の事だった

互いを止める特別な関係はない

想いだけで繋がっていられるほど人は真摯な生き物ではないのかも知れない

何か形が欲しい

そういう弱い心を埋めるために

人は心のかけらを求めているのかもしれない

一度くらい

純粋な愛があっても良いのかもしれない

一つの約束があった

「別れても誕生日くらいは祝ってくれる?」

覚えていないかもしれない質問

それに用意した答えは当たり前の直球だった

離れてから初めての誕生日

『幸せになれよ』とデコレートされた花束を贈る

何年続いたのだろう

最後の電話は

「おめでとう、お役ごめんだね」だった

もう電話をする事も無かった

電話を受け取る事も無かった

もしも、離婚したら…

そんな莫迦な思いを抱かずに幸せになれよ、と笑いとばした

全ての花束のメッセージには『おめでとう』と添えた

最後に添えたメッセージカードにだけ

『幸せに』と添えた

それも、ひとつの恋物語なのかもしれない