思えば、そんなにも若かったのね。


 年だけはとっくに追い越してしまっていたけれど、

 人生経験は、きっとこの先、 生涯かけても、 

あの方の足元にも及ばない。


あれほどの才に、

凄まじい研鑽努力を積んだ、

得難い方が、

あんなにも早く逝ってしまわれて。


浅学非才の怠け者な私が、

こうして、

埒もあかない日々を、

愚図愚図と送っている。


申し訳ないような気持ちになる。


けれど。

それでも。


自分は自分として、

自分のペースで、

赦された、

浅く薄っぺらいこの人生を、


ありがたく生きていく。


全く交わらぬ人生、

接することすらない世界、


それでも、


卓越した存在の、眩い光は、

遠く離れたこの地平を照らし、

心の暗闇を打ち払ってくれる。


届かぬ人への憧れが、

歩む力をくれる。


見事な生き様、

ありがとうございました。



届かない頂を見上げながら、

一歩、一歩。


研鑽などとは程遠い、

緩い、拙い、歩みだけれど。


その高みには、けして到達できずとも


ありがたく、生きていく。