理数塾から帰ってきたすばるが、テキストを放り出した。
「フン、つまんない。ボク、塾なんかもう行きたくない」
「どうしたの、すばる」
姉・ヒカリが声をかけた。
「ボク、石の名前なんか興味がない。花の名前も憶えたくない。単子葉類は子葉が一枚、葉脈が並行、ひげ根、・・・花崗岩、閃緑岩、斑レイ岩、石基に斑状組織・・・全然面白くないよ」
イメージ画像【地層】
「すばる、石の名前は得点源なの。Ⅱ分野はしっかり覚えなくちゃ」
「ボクはオームの法則とか、地震の起きた時刻とか、化学反応式の作り方がわかるようになりたいんだ」
「そうは言ってもなぁ」
「それにテキストも気に入らないよ。ボク、自分の学校の副教材がいい」
「???」
「くま先生は易しい教材をコピーしてくれたんだけど、これじゃ簡単すぎる」
(ちょっとメンドクサイな)ヒカリは思った。
「リスも出てくるし、かわいいじゃない」
「ボクは夏、一生けん命自分の学校の宿題を勉強したんだ。できなかったところをわかるようになりたいんだ。クラスのみんなだって、この問題どうやった、とか話してるのに、リスが出てくるコピーなんか嫌だよ」
「くま先生にそう言ったらいいじゃない」
「ボク、かっちょいい理科がわかるようになりたいんだ。」
かっちょいい理科【イメージ画像】
ティーチャー・くまは頭を抱えた。
「最初から物理とか化学がやりたいと言っているんだから、いっそやらせたらいいんでねーべか」案外目覚めるかも
「そういえば、丸パンなんか作りたくないと言って、最初からカンパーニュから作っているパン教室もあったな」
「くま先生は真面目過ぎるんだァ」
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