こんにちは。タロット占い師のなかにしゆいです。


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実家に届いた父からわたしへの手紙。


翌日、母がわたしのところまで持って来てくれました。


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封筒に書かれた父の筆跡を見て、「こんな丸文字だったんだ」と、なんだかおかしくなりました。


わたしは、手紙をすぐに開封することができませんでした。


怖い、と思ったからです。


父からの手紙を読むことが、とても怖いと思いました。


手紙を出したときは


「返事が来たらいいな」


「返事をもらえたら嬉しいな」
 

なんて思っていました。


手紙が届いたことを知ったときは


「こんなことってあるんだ」


と感動して大泣きしました。


けれど手紙をいざ手にしたとき


わたしが感じたことは


怒っていたらどうしよう?


悲しんでいたらどうしよう?



余計な不安や妄想が、頭の中をグルグルと駆け巡りました。


しばらく封筒を見つめた後、覚悟を決めて、開封しました。


便箋を取り出そうとしたら、何かが手元に落ちてきました。


1枚のポラロイド写真でした。


他にも、小さく切り抜かれた古い写真が7枚も出てきました。


写っていたのは、子供の頃のわたしと2人の妹たちでした。


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1歳のわたし。


2歳のわたし。


7歳のわたし。


12歳のわたし。


そして七五三のときの妹たち。


父がこんな写真を持っていたなんて、知りませんでした。


「なんで持ってる写真をわざわざ手放すの?」


最初見たときは、意味がわかりませんでした。


けれど、封筒の中で挟まって中々出てこようとしない1枚の便箋を取り出して読んだとき、すべてを理解しました。


手紙には、こう書かれていました。


『由衣へ


手紙をくれて、ありがとう


急なのでびっくりしたわぁ


元気にしているか


もう由衣も31歳になっているのかなぁ


由衣にはよく怒ったなぁ 


堪忍してくれよ


皆、元気にしているか?


手紙は苦手なので、これぐらいにしときます


体を大事になぁ』



短い文章でした。


でも、きっと一生懸命考えて書いたんだろうなと思いました。


この可愛らしいレターセットも、わざわざ買いに行ったのかと思うと、胸が詰まりました。


手紙の内容は、父がわたしの父親で、わたしが父の娘だということが、よくわかるようなものでした。


不器用な愛情表現。


決して「愛してる」とは言わない。


そうだった。


昔からストレートな愛情表現をしない人だった。


できなかったんだろうなぁ。


わたしもそうだったから。


素直になりたくても、なれなかった。


素直な妹が、いつもうらやましかった。


父はきっと


言葉で表現する代わりに、写真で表現しようとしてくれたんだろうなぁ。


「愛してるよ」


そう思うと、嬉しくて、切なくて、胸が苦しくなりました。


声をあげて泣きました。


わたし達は本当によく似ている。


手紙の最後は、携帯番号と一緒に、こう締めくくられていました。


『死ぬまでに一度会いたいなぁと思う


それでは』



写真を返しに行かなきゃ。


そう思いました。


16年の時を経て


わたしの体の奥深くで止まっていた時計の秒針が、静かに動き出したように感じました。



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ここまで来れたことを、深く感謝します。


今日も最後までお読みいただきありがとうございます。


Have a nice day!

このお話の後日談→【父への電話①】