湘南佐島なぎさの丘バス停はこのへん。
見てわかる通り、道路がきれいな形状で整備されている新興住宅地の中に存在。
でも地図を見ても鉄道駅からは相当に離れているのも事実。
バス路線も必然的に設定されることになる。
この場所、周辺のバス路線が短期間でいろいろと変わっているため、
ここでその変遷をたどってみることにする。
2006年発行かながわのバスマップから
地図上、上が逗子市・葉山町方面、下が三浦市方面、右が横須賀市中心部。
中央に当停留所が所在する「佐島の丘」なる地名が見えているもののバス路線は無し。まだ路線設定されていなかったことがわかる。
ついでに現在当停留所を経由する系統群も、以下の通り今とは運行形態が違っていた。
・逗7は佐島入口バス停から相模湾へ向かい、佐島マリーナ入口へ
・須4、衣4は大楠芦名口が終点
これより北側にも横須賀市域は広がっているが、横須賀駅から相模湾側を北上するバス路線の限界が大楠芦名口である。
2008年8月発行神奈川県内乗合バス・ルートあんないNo.1から
ここで初めて当停留所が開設(2007年3月16日)し、既に現存しないが以下系統の終点に設定される。
・逗72 逗子駅~葉山大道~葉山~大楠芦名口~佐島入口~当停留所
・直行 逗子駅~(三浦半島中央道路)~当停留所
・急行 逗子駅~(三浦半島中央道路)~当停留所
直行と急行の違いは、路線図上部の芦名バス停に停車するか否かのみ。
逗子駅からの直行便を2系統も新設するあたりに、京急グループによる当地への力の入れ具合を感じるところ。
それに逗7が当停留所に寄り道する逗71なんていう系統も新設。
だいぶ古いが、過去(2009年)の大楠芦名口バス停のレポートはこちら
時期的にはこの系統群が組まれていた頃。
ちなみにこのレポートの写真ではまだ「佐島の丘」方面へ向かう道はどこにも見られない。
2014年12月発行神奈川県内乗合バス・ルートあんないNo.3から
当停留所は特に変わっていないが、大楠芦名口を終点に系統を新設。
2017年4月発行神奈川県内乗合バス・ルートあんないNo.4から
2020年4月発行神奈川県内乗合バス・ルートあんないNo.5から
路線図上の系統番号の数を見てもわかる通り、恐らく当停留所の最盛期を迎えたのがこの頃。
2024年4月発行神奈川県内乗合バス・ルートあんないNo.6から
そして直近では、拠点として発着する系統が完全に消え、猛烈な繁栄からの劇的かつ急速な衰退ぶりがサラッと伺えてしまう。
これは湘南佐島なぎさの丘の分譲具合が上手く進んでいない結果なのか。当初の力の入れ具合が空回りした印象。事実として、バス停周辺にはまだまだ広大な空き地が広がっている。まぁどう考えても、家が鉄道駅から離れすぎているのは強烈なウィークポイントである。
また上記路線図から現在まででも少し異なる点があるため補足する。
2020年の路線図から現在までの変遷が以下の通り。
・2020/10/1 直行、急行系統が消滅
・2022/10/1 衣53消滅
・2023/3/1 上記路線図の通りに。
(経路変更(逗7)、路線延長(須4、須54、衣4)、
系統消滅(逗4、逗71、逗72))
・年月不明 須54、衣53消滅
・2024/3/16 須54消滅
2020/10/1
逗子駅発着
逗71 逗子駅~(山回り)葉山・大楠芦名口・湘南佐島なぎさの丘~佐島マリーナ入口
≪平日ダイヤ≫
運行回数、運行時刻を変更いたします。
※始発・終車の時刻変更あり
逗72 逗子駅~(山回り)葉山・大楠芦名口~湘南佐島なぎさの丘
≪平日ダイヤ≫
逗子駅発を4便、湘南佐島なぎさの丘発を3便増回いたします。≪土曜ダイヤ≫
≪日祝ダイヤ≫
逗子駅発を4便、湘南佐島なぎさの丘発を4便増回いたします。
直行 逗子駅~(シャトルバス)逗子・葉山駅・湘南国際村子安口停車~湘南佐島なぎさの丘
≪平日ダイヤ≫
系統を廃止いたします。
急行 逗子駅~(シャトルバス)逗子・葉山駅・湘南国際村子安口・芦名停車~湘南佐島なぎさの丘
≪平日ダイヤ≫
≪土曜・日祝ダイヤ≫
系統を廃止いたします。
2022/10/1
衣笠十字路発着
衣3 衣笠十字路~林~横須賀市民病院
衣6 衣笠十字路~林・長井~三崎口駅
衣53 衣笠十字路~山科台・林~横須賀市民病院
≪土曜・日祝ダイヤ≫
系統を廃止いたします。
2023/3/1
逗子駅発着
逗4 逗子駅~(山回り)風早橋・葉山小学校・葉山~大楠芦名口
逗7 逗子駅~(山回り)葉山・大楠芦名口・佐島入口~佐島マリーナ入口
≪平日ダイヤ≫
≪土曜・日祝ダイヤ≫
系統を廃止いたします。
逗71 逗子駅~(山回り)葉山・大楠芦名口・湘南佐島なぎさの丘~佐島マリーナ入口
※「湘南佐島なぎさの丘」停留所移設に伴い、系統番号および運行経路を変更いたします。詳細は、こちらをご覧ください。
現 逗71 → 新 逗7 逗子駅~(山回り)葉山・大楠芦名口・湘南佐島なぎさの丘~佐島マリーナ入口
≪平日ダイヤ≫
≪土曜・日祝ダイヤ≫
運行時刻・運行回数を変更いたします。
逗72 逗子駅~(山回り)葉山・大楠芦名口~湘南佐島なぎさの丘
※「湘南佐島なぎさの丘」停留所移設に伴い、系統番号および運行経路を変更いたします。詳細は、こちらをご覧ください。
現 逗72 → 新 逗7 逗子駅~(山回り)葉山・大楠芦名口~湘南佐島なぎさの丘
≪平日ダイヤ≫
運行時刻・運行回数を変更いたします。
≪土曜ダイヤ≫
≪日祝ダイヤ≫
系統を廃止いたします。横須賀駅発着
須4 横須賀駅~横須賀中央駅・衣笠十字路・林・横須賀市民病院・大楠芦名口~湘南佐島なぎさの丘
※「湘南佐島なぎさの丘」ゆきを「佐島マリーナ入口」まで延伸いたします。詳細は、こちらをご覧ください。
須54 湘南佐島なぎさの丘~大楠芦名口・横須賀市民病院・林・衣笠十字路・横須賀中央駅~横須賀駅
※「湘南佐島なぎさの丘」始発を「佐島マリーナ入口」始発に延伸いたします。詳細は、こちらをご覧ください。
衣笠十字路発着
衣4 衣笠十字路~林・横須賀市民病院・大楠芦名口~湘南佐島なぎさの丘
※「湘南佐島なぎさの丘」ゆきを「佐島マリーナ入口」まで延伸いたします。詳細は、こちらをご覧ください。
≪平日ダイヤ≫
≪土曜・日祝ダイヤ≫
運行時刻を変更いたします。
2024/3/16
横須賀駅発着須1 横須賀駅~横須賀中央駅・聖徳寺坂上~衣笠十字路
須54 佐島マリーナ入口~林・山科台・衣笠十字路~横須賀駅
須55 横須賀駅~衣笠十字路・山科台・林~長井
≪平日ダイヤ≫
系統を廃止いたします。
シャトルバスの廃止
調べていて、京浜急行バスから京浜急行本体への通達を見つけた。
その内容を引用したのがこちら。
2020/8/11
「シャトルバス」廃止と横浜駅行きリムジンバスの運行変更について
中略・・・
京浜急行バス株式会社(以下「同社」といいます。)から当社宛てに、同社が運行しております、湘南佐島なぎさの丘から逗子駅間の「シャトルバス」の廃止、廃止に伴う京浜急行バスの運行形態の一部見直し、および湘南佐島なぎさの丘から横浜駅間のリムジンバスの運行形態の変更につきまして、下記の通り、連絡を受けました。
「シャトルバス」の廃止理由といたしましては、ご利用者が少ないことに加え、新型コロナウィルスの影響により更に減少していることと聞き及んでおります。
当社といたしましては、同社の申し入れを受け入れざるを得ないと考えております。しかしながら、かねてより、逗子駅方面からの、夕・夜間における運行間隔の均等化等のご要望も頂いておりましたので、当社が同社と協議を行い。「シャトルバス」の廃止にあっても逗子駅方面からのお帰りの利便性を図るべく、出来る限りの均等化の申し入れを行いました。
中略・・・
記
①湘南佐島なぎさの丘から逗子駅間の「シャトルバス」廃止
・湘南佐島なぎさの丘から逗子駅間を運行する「直行」「急行」系統を廃止
②京浜急行バスの下記系統の運行時刻見直しによる逗子駅方面への便の確保
・逗子4系統(逗子駅~大楠芦名口)
・逗子71系統(逗子駅~佐島マリーナ入口)
・逗子72系統(逗子駅~湘南佐島なぎさの丘)以下略・・・
2023年3月での改変
結果的に、この周辺のバス発着拠点は佐島マリーナ入口に統一される。
しかしながら、これを機に逗子駅行しか設定が無かった佐島マリーナ入口から、横須賀駅までの路線が新設される。
当記事ともちょっと関連するが、横須賀駅から相模湾側を結ぶ系統について最近「衣笠十字路」の拠点重要性がだいぶ薄れているのがとても気になるところ。「衣xx」系統の存在も薄れ具合がどんどん増してきているような。
以前は日中でもバンバン行先を出してバスが走っていたはずだけど、今では「夜に数便」とかまで減らしたり。
2024/3/16の須1衣笠十字路系統廃止とかも愕然とする事実。
以上、ここまで長くなってしまったが系統変遷を紹介してきた。
明らかに当初は当停留所を拠点とすべく設置した路線系統群だったと思われるが、
思惑通りに行かなかったことから、現状に落ち着いたように見える。
系統の改廃はあれど、今後拠点の移動は無さそうかな。
とはいえ折り返し場がありながら、現在使用中の道路上バスベイはあらかじめ用意されていた(下に掲載したストリートビューにて確認可能)。初めから現在の状況に変化させていくことを決めていたのだろうか。
個人的には
「思惑通りに行かなかったことから、現状に落ち着いたように見える。」
この予想が合っていてほしいw
2024年5月現在の様子
佐島マリーナ入口方面バス停
横須賀駅、逗子駅方面バス停
横断歩道の見える交差点の向こうに反対側のバス停がちらっと見える。
両バス停とも折り返し場廃止と入れ替わりに設置されたものと推測。
再び佐島マリーナ入口方面バス停
そこから左に目をやると砂利の空き地。
ここが元の折り返し場。舗装を剥がした跡と思われる。
ついでにバス停の向こうに見える建物「京急ストア湘南佐島店」も、先日2024年3月31日をもって閉鎖。ここからも衰退ぶりが見える。
2021年9月のGoogleストリートビュー
ほぼ同地点
折り返し場から出て行こうとしているバスの姿が見える。ズームすると特別仕様の青いバス停ポールも見える。ここで見えているのは降車用。
もちろんバスの向こう側には乗車用ポールも存在。
全て今ではなくなってしまった光景。
元の折り返し場の出入口側から
トンネルの左下辺りに小さく佐島マリーナ入口方面入口のバス停が見える。
写真中央、歩道部のアスファルトで一部黒の濃い箇所にバス停ポールが埋め込まれていた。左は降車用(&逗72佐島マリーナ入口行乗り場)、右が乗車用(横須賀駅&逗子駅方面)。見えている駐車スペースは元京急ストアの駐車場。
その奥の砂利スペースが元の折り返し場。
バリケードが設置されて今では入れない。
その手前に設置されていた紹介マップ
一部拡大
写真を撮影した際のこの立ち位置の真後ろに上述した「京急ストア湘南佐島店」跡の建物が存在するのだが、看板に現在の最寄店舗、隣の大楠芦名口バス停すぐ脇の「京急ストア芦名店」の説明文あり。
徒歩13分、1km程度離れたことになる。残念でしかない。
一部拡大
他にも高速リムジンバス(葉山・横須賀西地区線)が紹介されている。
元は以下系統の設定があった。
2020年10月1日現在
(近くの横須賀市民病院、電力中央研究所系統は、一旦ここの記述から外す)
・横浜駅(YCAT)~湘南国際村センター前~(佐島入口)~佐島マリーナ入口(土休日1往復)
・横浜駅(YCAT)→葉山→(佐島入口)→佐島マリーナ入口(平日片道1本)
・横浜駅(YCAT)~葉山~大楠芦名口~当停留所(毎日3往復)
・横浜駅(YCAT)→湘南国際村センター前→大楠芦名口(平日片道1本)
<参考>
葉山線および横須賀西地区線の路線統合について(京浜急行バスHP)
これらが2024年3月31日をもって大楠芦名口発着へ短縮。
系統見直しが図られ、佐島マリーナ入口、湘南佐島なぎさの丘が停留所から外れる。
バス路線の衰退ぶりがここでも見える。
ついでに看板もこの4月に内容が更新された、ということがわかる。
2024年4月1日現在
・横浜駅(YCAT)~葉山~大楠芦名口(毎日1往復)
・横浜駅(YCAT)→湘南国際村センター前→大楠芦名口(土休日片道1本)
2024/3/18公表の2024/4/1ダイヤ変更情報より引用。
2024年4月1日(月)から、高速バス 横浜駅(YCAT) ⇔ 葉山・横須賀西地区線は、ダイヤを一部変更いたします。
起終点の変更に伴い、使用を停止する停留所がありますので、ご利用の際はご注意ください。
詳しくは、下記をご覧ください。
実施日
2024年4月1日(月)
該当する路線
高速バス 横浜駅(YCAT) ⇔ 葉山・横須賀西地区線
使用を停止する停留所
・佐島マリーナ入口
・湘南佐島なぎさの丘
逗7 逗子駅行
画面右側の佐島マリーナ入口方面からやってきて左折。
当停留所へ向かってくるところ。
去年までの拠点時代には「湘南佐島なぎさの丘」を掲げたLED表示も頻繁に見られたはず。今では逗7の夜間2本でしか撮影できなくなった。
wikipediaでも当系統関連の情報が掲載されており、今回の執筆に際しても諸々参考にしたが、一部誤りがある為ここで正しい情報を。
ちなみに、京浜急行電鉄発行の三浦半島1DAY・2DAYきっぷは湘南なぎさの丘系統では使用できない。
引用元:京浜急行バス逗子営業所#長井線
三浦半島1DAYきっぷは使えます。
今回の探索で逗7に長者ヶ崎から終点の佐島マリーナ入口まで乗車し、降車時に1DAYきっぷを提示して何も問題無かったので。
そのきっぷで今後どれだけこの辺に行く人がいるのか知らんけど、安心してご利用ください。
撮影日 2024年5月3日(路線図以外の掲載分全て)
撮影場所 京浜急行バス 湘南佐島なぎさの丘バス停(横須賀市佐島の丘)